仏語問題三題

知っている方は嗤笑(ししょう)しながら、初めての方は沈思熟考してお答えください。

第1問〈初級問題〉

フランス語で数字の98は、どのように表わされるか。

A 4×20+18

B 3×30+8

C 2×40+18

⇒(      )

第2問〈中級問題〉

フランス語でジャガイモを「大地の(  )」という意味の言葉で表現する。

その農作物(  )とは何か。

⇒(             )

第3問〈上級問題〉

フランク・シナトラで有名な「My Way」は、もともとフランスの曲である。原曲のタイトルは「マイ・ウェイ」と全く意味が違う「        」という意味のフランス語である。

さて、日本語で何という意味か。

⇒(                 )

【解答】

第1問 A

60までは、「端的」に表す語があるが、70以上になるとそうはいかない。

70=60+10

80=4×20

90=4×20+10

と表される。

したがって、98=4×20+18 となる。

日本語でも英語でもドイツ語でも、70、80、90は「一語」で表す。フランス語と同じラテン系言語のスペイン語やイタリア語でも、同様だと記憶している。なぜか仏語だけがこんな「へんてこ」な表現だと、大昔、仏語を初めて勉強した際、感じたものだ。

こんな「へんてこ」な数字表現なのだが、フランスは、偉大な数学者を多数輩出している。「ラプラス変換」のラプラス、「フーリエ級数」のフーリエ、そして、決闘で亡くなった天才数学者ガロアなど、彼ら天才にとってあんな数字表現は何らマイナスになっていないのだろう(むしろプラスだったのかしら?)。

最近逝去したあの石原慎太郎が、約20年前に「フランス語は数を勘定できない言葉だから国際語として失格している」と断じて結構な騒ぎになったことが思い出される。歯に衣着せない、いかにも石原慎太郎らしい発言だったなぁ。

第2問 林檎(りんご)

りんごはpomme(ポム)、じゃがいもはpomme(ポム)又はpomme de terre(ポムドゥテール)という。混同しないためには、後者を用いる(めんどくさ!英語のpotatoに対応する語がない)。Terreは英語の「earth、land、ground」に当たり、「地球、世界、陸、地面」を意味する語、したがって「じゃがいも=大地のりんご」である。

第3問「いつものように」

ちあきなおみの「喝采」ではないけど(←わかる人はエライ!)、原曲は、フランスのシャンソン「Comme d’Habitude」(コム・ダビテュード)。Commeは、英語の「as」で「・・・のように、・・・と同じく」という意味。Habitudeは英語の「habit」だからわかりやすい、「習慣、癖、慣れ」の意。よって、comme d’habitudeは、熟語で「いつものように」となる。

クロード・フランソワは、フランスのシャンソン歌手、作詞家・作曲家(要するにシンガーソングライター)であって、1960年代から1970年代にかけてのフランスを代表するアーティストであった。彼がジャック・ルヴォーとともに作曲した「Comme d’Habitude」をテレビで観たポール・アンカが、この曲に全く異なる英語の歌詞を付けたのである。

それは1969年にフランク・シナトラが歌う「マイ・ウェイ」として世界的に大ヒットした。後にエルヴィス・プレスリーはじめ多くの歌手によりカバーされ、カバーされた回数が史上第2位の曲(第1位はビートルズの「イエスタデイ」←「世界で最も多くカバーされた曲」としてギネス・ワールド・レコーズに認定されている)だと言われている。