33歳〜39歳の医学生時代、医学の勉強とは別に英検及び種々の資格検定試験の勉強をしたものだ。その後医師となり多忙の日々を過ごすようになると、すっかり「受験勉強」をしないまま10年過ぎてしまった。
「若干」50歳となる頃、私の子らが英検や数検(英検は受けるのが当然となっているが、英検に比べマイナーな数検は、私が受けろと指導したもの)で四苦八苦している様を目の当たりにし、次のように思った。
―――英検の5級や4級の問題を見て―――
絵も多い。文字も大きい。級が低いとこんなに簡単な内容なんだ。英検は医学生時代1級まで取っているので、また英検の勉強しようという意欲は湧かないが、他の外国語なら低い級の合格は容易だろうと考えた。そこで、医学生時代、第二外国語でかなり勉強をしたことのあるドイツ語、そして第三外国語で少しばかり勉強したことのあるフランス語の検定を受けることとしたのである。
―――我が子らに数検を受けさせて―――
「教育パパ」というより「検定パパ」の私は、4人の子らに数検を強制的に受けさせた。申し込み手続きも私がすべて行った。我が子の出来の悪さに歯がゆい思いをし、子供に「勉強しろ」「勉強しろ」と言いながら、自分はビールを飲みつつTV観ていては説得力がないと考え、模範となるべく自らも受験しようと思い立った。まずは高校3年生程度の準1級を受けることとした。前回の医学部入試受験勉強から17年、医学部卒業後11年経ての「数学のお勉強」である。準1級用の問題集1冊を買ってひととおり解いてみた。高校の範囲なので、とても楽しく勉強できた。総計20時間も費やさなかったかもしれない。
さて、本番は、子供3人(当時、一番下の子は低年齢ゆえ受験せず)と一緒に「東京ビッグサイト」で受験。大きな会場だった。試験は絶好調で、一次も二次もあっさりと満点をゲット。その結果、後日、文部科学大臣賞をいただくこととなった。1級でないだけに忸怩たるものがあるが、拒否するほどでもなく、有り難く受賞したものである。
しかし、この後、大学レベルの1級の合格まで、長く辛い(笑)努力の日々が続くのであった・・・。
―――更に漢検も―――
昨今の漢検協会の不祥事でちょっと「ダウン」という印象のある漢検。数年前は、子供らの間で、検定といえば、一に英検、二に漢検だった。というわけで、我が子らに漢検を受験させていたが、上記数検と同様の理由で、父親の私も「参戦」することとなった。
日本人の常識・教養としては、漢検2級までできれば、まず不便はない。新聞雑誌はみな読めて理解でき、大学入試もOKだ(現に私は2級レベルの漢字力でセンター試験及び東大入試2次の漢字問題を完答した)。
2級レベルのままで準1級に挑むと玉砕する。意外と知らない漢字の多さに落胆しながらも、気を取り直して準1級問題集を何冊も買って解いてみた。2か月くらいで5、6冊の問題集をやるとともに、できなかった漢字をメモ帳に書き写し、「細切れ時間」にながめるようにした。努力の甲斐あって、一度目の受験で合格できた。
いよいよ次は1級。やはり「超」がつく難関である。一度、「試し」で受けてみたが、完璧に打ちのめされた。TVで芸能人が1級問題に答えていたが、「芸能人に負けたくない」という気持ちがある。とまれ、準1級の際の倍以上の努力が必要だろう。ただ、時間をかけて努力さえすれば合格できるのではないかと考える。というのは、英検1級は2次のスピーチが難関で、単に机に向かって何百時間勉強しても受からないだろうし(英検の勉強法については「たかが英語、されど英語」で紹介する)、数検1級にいたっては、1次の計算問題が難関で、極めて迅速で正確な問題処理能力・計算力が求められており、勉強いっぱいしたからと言って決して受かりやすくなるものではない。極めて俊敏な計算力(単なる四則計算ではない)が求められるでもなく、「喋る」能力・スピーチ構成力が求められるでもなく、単に漢字の知識さえあれば合格できる漢検は、もしかしたら3つの中で最も容易かもしれない。とはいえ、その知識量は極めて膨大である・・・。 |