たかが英語、されど英語
 

英語をはじめとする外国語の勉強というのは、物理学や法律学のような学問的中身があるわけでなく(専門的「英語学」は除いて考える)、そう考えると「たかが」なのだが、どのような職業に就くにも「おおむね」必要と考えると、「されど」なのである。

今の日本では、高校入試はもちろん、大学入試、大学院入試に英語なしで受けられるところを探すのは困難であるし、産業のglobalizationが進む現在、どの業種の企業に就職しても、英語はつきまとうと思ってよい。

小学生くらいから英語検定を受け、その受検者は年間200万人を超え、企業ではTOIEIC受験を奨励される。書店に行けば、大学受験用の英語の本に、これら検定関係の英語本その他英語力アップに関する本が夥しいほど置かれている。中国語やハングル語の勉強本が急増しているとはいえ、英語には足下にも及ばない。

当該コーナーは、海外在住の経験もない平均的日本人が、受験勉強をベースに努力を積み上げていくことにより、英米人と対等に渡り合えるほどの英語力を身につけるための方法を述べていくものである。

私は、帰国子女でもなく、また、英語の早期教育を受けた人間でもなく、根っからの「受験英語」上がりであり、そういう意味では、世の中の大部分のサラリーマン、学生と同様の英語土壌を有していると思う。したがって、ここに私が述べる英語学習法は、中学から英語を始めた、海外在住の経験のない、平均的日本人に適したものであると考える。

私の英語学習歴
 

私は、これまで様々な分野の勉強をしてきたが、その中で、やはり、英語に費やした時間のシェアはトップクラスだろう。

幼年時代のdog、cat(歳の離れた兄姉からの受け売り)から始まった私の英語学習は、途中何度も中断しながらも長期、長時間、間歇的に行われてきた。昭和三十年代、四国の過疎地で、英語と無縁の環境下で生まれ育った私が、海外在住の経験もなく、紆余曲折の後、三十歳代後半になって、やっと英検一級のレベルに達するまでの道のりは、決して平坦ではなかった。

 学習塾などあるわけない過疎地であり、英語のスタートは、標準どおり中学生になってからである。ここから始まる私の英語学習履歴は、年齢区分すると、次のようになる。

第1期:12歳〜19歳:「学校英語学習期」中学・高校・浪人時の受験勉強

第2期:19歳〜30歳前:「英語おさぼり期」その後の東大理科T類・工学部生時代及び官僚時代前半期は、英語学習はほとんどゼロ。お恥ずかしいことに、英語の重要性を認識できなかったのだ。

第3期:30歳前後:「英会話学習期」官僚時代後期にやっと「英会話」に目覚める。

第4期:32、33歳:「医学部再受験学習期」官僚時代終期に最高に効率的な勉強法を実践。14年ぶりに受けた東大入試では、英語が得点源となった。

第5期:33歳〜38歳:「英検1級地獄期」東大理科V類・医学部生時代。読み書き中心の大学入試では極めて高いレベルを示したものの、「聞く力」「話す力」が試される英検1級では連敗を喫す。

◎第1期「学校英語学習期」中学・高校・浪人時:12歳〜19歳

家の周りは、緑一色の田畑、森林で、やっとバスが日に数回隣町へ往復している程度であり、近くに学習塾などあるわけもなく、極めてのどかな環境の中、私の知的欲求もたいして刺激されることなく、成長していった。

保育所に通っていた頃、兄か姉に教わった、dogやcatといった英単語を、中学校から下校中の近所のお姉さんたちに自慢していた記憶がある。この頃から横文字への憧れがあったのだろうか。しかしながら、本格的な英語の勉強は、中学入学まで一切なく、結局今でいう「早期教育」的なものは皆無であった。

 
 

To be continued