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ワイドショーの劣化

2012.03.08

・・・・・・・・河辺啓二のテレビ論(2)

最近のテレビのワイドショーといったら、どの局も某人気タレントの洗脳事件ばかりが報道されている。国民的大スターとまでは言えない一芸能人の話題しかないのかとうんざりさせられる。
確かに、ワイドショーは、ニュースや報道番組とは異なり、芸能人の結婚・離婚など、われわれ一般人にとって全くどうでもよいことがよく主題となる傾向があり、それはそれで興味のある視聴者が多数いる限りは「娯楽番組」としては成立し得るだろう。
それにしても、昨年3月11日以降、日本人は「平和ボケ」を脱してきたと思っていた。ワイドショーでも、政治経済や震災復興をテーマすることが多くなり、そういう意味では、「娯楽番組」でありながら「教養番組」の役割も出てきたのではないかと評価してきたものだ。ところが、今ではこんな為体(ていたらく)である。今の日本には、迷走する政治、遅れる震災復興、いまだ強く懸念される放射能汚染など、ワイドショーらしい切り口(一般国民が興味を持てるように、わかりやすくかつおもしろく報道してくれる)で扱ってほしいテーマは山ほどあるのだ。
そういえば、あの大震災の直前のときも、ある芸能人の不倫問題が中心話題だった。それが、3月11日以降、一気に消失したものだ。この一年間で、わたしたち日本人の民度や意識は、また元のレベルに戻ってしまったのだろうか。