・・・・・・・・河辺啓二の教育論(2)
小学5、6年生が、今春から「英語活動」が必修となった。
確かに外国語の習得は、特に「聞く」「話す」については早ければ早いほうがよいのかもしれない。しかし、小学校の修業時間は有限であり、英語の授業の参入により、国語や算数の授業数が減るのではないかと危惧している。
将来の大学受験を見据えなくても、日本社会で生きる大人となるために(昔から「読み書きそろばん」というように)国語と算数は最重要である。母国語もろくに習得しないうちに外国語を学習することが、果たして将来の日本を背負う子供たちにとって望ましいことなのだろうか。
また、私たちは、母国語を介して思考する。母国語の文法力や語彙力がまだ十分に形成されていない年齢のときに外国語の習得を強制されることは、思考能力の発達に負の影響を与えないだろうかという不安もある。
従来どおり中学入学後の12歳からの英語スタートでも決して遅くはないのではないか。12歳の脳は、まだまだ可塑性・吸収性に富んでいる。何もネイティブのような発音などできる必要は全くない。2010年ノーベル化学賞の根岸英一先生だって、(ご自身も認める)「ジャパニーズイングリッシュ」だし、2008年同物理学賞の益川敏英先生にいたっては、堂々と日本語で業績を発表していたではないか。
私自身、田舎の中学入学後、初めて英語を学び、長年努力を重ね、やっと20年後に英検1級に合格するレベルまで達した。その学習過程に後悔や不満はない。