・・・・・・・・・・・・・東日本大震災(2)
〈「地震大国で原発推進」にはムリがあったか〉
今回の大惨事で国民の原発不信は頂点に達している。もちろん、放射能濃度の高い現場で懸命に活動されている東京電力職員、自衛隊職員、消防士等の方々には頭が下がる思いだが、電力会社の「安全より経営優先」姿勢や隠蔽体質、そして政府の不十分な危機管理体制など、批判されるべき問題点は山ほどある。今後の日本の電力供給を今までのように原子力に依存することで国民のコンセンサスを得ることは、もはや極めて困難だろう。
石油等天然のエネルギー資源が乏しい我が国において、地震大国でありながらも原子力発電が推進できたのは、その世界に冠たる優れた科学技術力によるところが大きい。その「安全神話」が完全に崩壊した。これまでもトラブルを起こしつつもなんとか大事故・大惨事を起こさずやって来られたことは、実は幸運だったのかもしれない。
しかし、今後は原発縮小への道を歩まざるを得なくなった。静岡の浜岡原発や愛媛の伊方原発周辺の住民の不安は、日増しに増大してきている。自前の天然エネルギー資源に乏しく、原子力発電も縮減されるとなれば、電力需要を減らすしかない。電力需要を減らすことは様々な経済活動を縮小させることとなり、ただでさえ悪い景気を悪化させ、GDP低下は免れないが、そんなこと言っていられない現在、「経済より安全」の原則は貫くべきだろう。
〈サマータイム導入の可能性〉
最近は、テレビ等でも数々の省エネキャンペーンが行われており、私たち国民の中にも「省エネマインド」が醸成されつつあることは好ましいことであるが、国を挙げての省エネ対策として、サマータイムを導入するのはどうだろうか。
サマータイム(SUMMER TIME)とは、デイライト・セービング・タイム(DAYLIGHT SAVING TIME)ともいい、夏の間、太陽の出ている時間帯を有効に利用する目的で、現行の時刻に1時間を加えたタイムゾーンを採用する制度だ。
そもそも、現代人の生活は、明るくなる時間帯の早朝にはまだ活動せず、暗くなる時間帯の夕方~夜に、こうこうと明かりを点けて、仕事や娯楽を行っている。1時間でも前倒しにすれば、かなりの電力節減・省エネ効果が期待できるのではないだろうか。
欧米では、毎年3月~10月・11月に実施されており、日本でも1948年~51年に行われたことがあり、その後も再導入の話があったものの、種々の反対意見もあり、実施はされていない。しかし、今回ばかりは多少の反対派も目をつぶってくれるだろう。
反対意見の中には、例えば子供たちの「従来の生活リズムが崩れる」など医学的な指摘もあるが、大部分の人は順応していくだろうし、健康上の不具合が生じる場合、政府が医療機関にガイドラインを示すなどして、保健所や医師等が個々に対応すればよいのではないか。
また、日本列島は東西に細長いために日の出・日の入りの時刻に大きな差が生じることに関しては、例えば、暗い時間帯に学童たちが登下校することとなる地域には特例的にサマータイム制度を適用除外するなど柔軟に対応すればよい。
その他、時計や種々の電化製品の時刻調節など煩雑な問題も起きてくるが、国民全員で我慢することは、日本人の国民性からいって容易なことに違いない。
計画停電もなく、今回の震災の影響の乏しい西日本の方々も、今回の戦後最大の国家的困難に鑑みれば、皆さん協力してくれるのではないだろうか。