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前原外相発言は暴論だ

2010.11.24

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・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(9)

11月13日(土曜)夜に朝日新聞「声」に下の文章をメール投稿したところ、16日(火曜)午後に「声」の担当者から電話があり、19日(金曜)に掲載されることに。これで、本年6回目の「当選」のようだ(朝日「声」3回・「視点」1回、読売「気流」2回)。

今回は、字数制限分を減らして、ほとんど原文のまま掲載してくれた。タイトルは大きく変わるも、その趣旨は変わっていない。

〔実際の掲載投稿は上のとおりです〕
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 TPPをめぐって、我が国国内、特に政府内で激しいやりとりがなされている。工業製品の関税が安くなるため輸出増大となる産業界・経済産業省は大賛成、安い農産物の輸入増大で日本農業は大打撃を受けると農業団体・農林水産省は大反対だ。

このような貿易をめぐる工業政策対農業政策の対立構造は昔からあった。しかし、今回のTPP参加の是非にかかる論争はかつてないほど深刻と思われる。

最近、経済産業大臣でも農林水産大臣でもない前原誠司外務大臣が「農業などの1次産業はGDPのわずか1.5%にすぎない。そのために残りの98.5%が犠牲になっていいのか」といった内容のことを公(おおやけ)の場で発言した。農林水産業を工業や商業と全く同列に経済的評価したのだ。

自然を相手に、自然との調和や環境保護の役割を果たしつつ、食料という人間の生存の基幹を担う農業を、単に経済的見地だけに立って商工業と同列に扱う前原外相の見識を疑う。

「農は国の基なり」という。前原発言は、食料を外国に現状以上に依存してよいという考えだと解釈されてもしかたのないものだと思う。要するに食料安全保障の考えが全く欠落しているといえよう。
更に、農業や林業の持つ水源涵養や景観保持といった公益的機能が無視されている。安価な外国産の食料を輸入しても、きれいな水や空気や景観は輸入し難いことを認識すべきである。

前原さんは農村に行ったことがないのだろうか。
つらい農作業を少しでも経験されたらどうかと思う。