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尖閣ビデオ流出海保官は英雄だ

2010.11.24

・・・・・・・・・・・河辺啓二の社会論(2)


尖閣諸島沖衝突ビデオ流出の「犯人」とされた海上保安官を擁護する意見が多い中、国家公務員法の守秘義務違反だと非擁護の意見も少なからず出ている。もっとも、政府のおそまつ極まる外交政策が最大の批判の的であることは言うまでもない。

私は、この「犯人」扱いされている人と、職種は全く異なる事務官だが、同じ国家公務員であった。国家公務員というのは、ほとんどの人は、なったばかりの若い時期は「国家のために働こう」という極めて純粋な志(こころざし)を持つものである。

ところが、働き始めて何年も経つと、その純粋さが次第に澱み、劣化して、「国益より省益」といった縄張り意識が強まり、国民や国家より自分の属する省庁を重んじるようになる。同時に、年齢を重ね、結婚し、子供もでき、更に住宅ローンを組んだりすると、「保身」の傾向はますます強くなっていくのが通常である。国家のために妻や子を犠牲にできないというのは、いちがいに非難しにくいものだろう。

私がこの「犯人」の方の行為が英雄的だと思うのは、もし発覚したら職を失うかもしれないと認識しながら、ビデオ流出を敢行したことである。自分は(この不景気の中)国家公務員という最も安定した職業にありながら、仮に免職されれば、妻子は路頭に迷うかもしれないということも考え抜いて実行したのだ。

小6の女の子が自殺した小学校の校長や教育委員会教育長がインタビューで「保身」丸出し答弁しているのとは、正反対だ。