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2001年中央省庁再編の検証を

2020.08.23

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・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(35)
最近、他県に住む友人医師から聞いた話。
彼の診療所の門前薬局にはよくミスをする薬剤師がいて、薬局長から度々注意されるも、馬耳東風。つい最近起こったことは、糖尿病薬が処方箋と異なるものが出て、当該患者さん血糖値が大きく低下してしまったという(幸い、大事には至らなかった)。この事件が発覚しても、この薬剤師は薬局長に報告も詫びもなく、平然としていたらしい。薬局長は経営者の社長とともに、処方した彼や当該患者さんの自宅まで行って謝罪してきたとのこと。さすがに堪忍袋の緒が切れた薬局長と社長は、取り返しのできない医療事故が起こる前にと、法に定める金額を支払ってこの薬剤師を解雇した。
ところが、後日、その薬局は、労働局から不当解雇であるとの指摘を受けることになったという。要するに調剤ミスを何度もしでかすような薬剤師でも「労働者」だから徹底的に保護されるのが、労働局のスタンスなのだろう。
しかし、労働局・労働基準監督署は「厚生」労働省の一部であり、国民の健康・医療を所管する最たる官庁あるはずだ。にもかかわらず、「労働者」保護ばかりに視点が行き、「厚生」労働省の一員であるのに調剤ミス連発薬剤師を継続雇用しろというのだ。これでわかったことは、厚生省と労働省が統合して20年も経つのに、「労働」担当は「厚生」のことなど知ったことではないという意識が強く残存しているということだ。
他の統合再編省庁でも、出身省庁からの襷掛け人事など、依然として「融合」した省庁の体(てい)をなしていない。大臣の数を減らしたかどうか(無任所大臣多し)も怪しくなっているが、果たして2001年中央省庁再編は、公共の福祉の向上に資したのか、本当に国民のためになったのか、そろそろ検証すべきではないだろうか。