・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の勉強論(13)
〔時間に余裕が〕
かつていろいろな検定試験に挑戦、合格を果たしてきたが、ここ数年はとんと勉強しなくなった。仕事が忙しいから、年取って道楽の勉強より自らの健康管理の方が大事だから、年齢とともに意欲低下してきたから、などと言い訳してずいぶん「お勉強」から遠ざかってしまったものだ。そうこうしているときに「コロナ禍」がやってきた。来院患者数は激減、定時に診療が終わるばかりか、診療時間内にも患者ゼロのぽっかり空いた時間がたびたび訪れてくる。もちろん、テレビの報道番組や各種メディア等でコロナ情報は仕入れることは職業上努めてはいるが、やはり、昨年までの仕事に追われていた生活とは明らかに異なり、「自分だけの時間」が増えてしまった。
〔第2・第3外国語?〕
そこで、まず、長く中断していたドイツ語とフランス語のNHKラジオ講座を4月から再開した。月曜~水曜の「入門編」はどちらも楽勝。木曜・金曜の「応用編」は、独語はなんとか、仏語は結構キビシイってところか。ただし、朝起きられなくて聞き逃すことがたびたび・・・と忸怩たる思い。ところが、ここにも「コロナ禍」が。7月~9月は、4月~6月の分の再放送に。新作テレビドラマの放映が遅れるのと同様に、語学番組さえも感染対策でスタジオ収録ができなくなったため。溜息が出てくる。
〔世界遺産検定に興味湧く〕
外国語の勉強より学習意欲が高まったのは、世界遺産検定受験である。この検定試験、テレビのいろんなクイズ番組の中によく登場していたが、あまり関心を持っていなかった。ある日、書店で見かけた世界遺産検定3級4級の過去問題集を購入し、自宅で解いてみると、4級は簡単で合格点が取れた。中学や高校で覚えた歴史や地理の知識やいわゆる一般常識で通用したのだ。というわけで、実際の受験は4級はスキップして、3級・2級を同日に受けることにした。もともと私は「理科」の勉強より「社会」の勉強のほうが好きだった。しかし、大学受験(2回とも)が理科系だったため、好きだった歴史や地理の勉強は極力抑えたものだ。そういえば、人生初の文科系の受験だった上級職国家公務員試験経済職の勉強は「楽しかった、おもしろかった」という思い出がある。世界遺産検定(3級・2級)の勉強も―世界史・日本史・地理に加えて英語問題が僅か1問のほか、絶滅危惧種といった生物の問題も出てくる―ほぼ文科系で私の知的欲求を満たしてくれるものだ。
〔久々の「お受験」〕
7月5日の日曜日、受験してきた。コロナ禍で中止になった検定試験もある中、試験会場は感染防止対策が十分なされていた。何か所かに消毒用アルコールが置かれているのはもちろんだが、受験者同士の席の間隔は大きく、試験官は全員フェイスシールドをしていた。受験者層は、海外旅行好きそうな、比較的若い女性が多かった印象。
まず、12時30分から3級の試験。問題は容易で試験時間50分中25分で終了、会場から途中退出ができたため、何人か受験者と同様に退出した。次に14時30分から2級の試験。こちらの問題は若干難しくなり、試験時間60分を目一杯使うこととした。どちらの試験も手応えは十分であった。翌日のネットで答え合わせしてみると、100点満点で、3級は92点、2級は85点であった。6割がボーダーラインというから、「極めて楽勝」の受験であった。
〔「合格」の快感と知的欲求〕
いくつになっても、どんな試験であっても「合格」の2文字は嬉しいものだ。世界遺産検定には準1級がなく、2級の上は1級となる(1級の受験資格は2級合格となっている)。1級の過去問を見てみると、やはり2級より格段に難しくなる。1000以上もある世界遺産から出題される。中学・高校の「社会」の知識なんて通用しない。しかしながら「受験者・河辺啓二」は挑戦する所存。
そもそも、学問、お勉強は分類すると5つになる。
①法律、経済等の社会科学
②文学、歴史等の人文科学
③物理、化学、工学等の物質系自然科学
④農学、医学等の生物系自然科学
⑤外国語
①は、国家公務員試験の受験勉強、そして官僚時代に経験した。③は、東大理Ⅰ・工学部で勉強した。④は、東大理Ⅲ・医学部の学生のときに学んだ。農林水産省時代、農学部卒の技術系研究者の方から若干農学を教わったこともある。⑤は、英語に加えてドイツ語、フランス語等学んできている。となると、やはり心残りは②の人文系学問である。ちょうどこの世界遺産検定の受験は、歴史や地理の人文科学の「お勉強」に最適だろう。
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