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女医を増やさないのがよいのか

2018.08.30

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・・・・・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(26)
高級官僚息子裏口入学に端を発した、東京医科大学入試での女性差別問題が江湖の話題となっている。
確かに病院サイドの「女医は出産・育児で休職・離職することが多いため現場は医師不足増大に」という理屈は理解できなくははない。更に言うと、女子医学生は、夜、緊急で呼ばれる確率の高い、患者が亡くなることが多い、いわゆる「キツイ」診療科を敬遠する傾向が(男子学生より)高く、診療科偏在の軽減といった意図もあったに違いない。 
おそらくこのような「性差別」は、東京医大だけでなく、他の医学部でも多少はあるのではないかと推測する。
果たして男性医師が多く女性医師が少ない医療現場が望ましいのか。そもそも、医療とは人間と触れあい人間に寄り添うもので、基本は保育士や介護士のように他人様の「お世話」をする業種だ。保育士・介護士のように(看護師だけでなく)医師だって女性が多くいてよいのではないか。
医療において男性が女性より優れているという点は、実は乏しい。男性が勝る筋力は殆ど不要。力の要る、動けない患者さんの移動は、スタッフに助けてもらう。医師に必要な体力は筋力ではなく、長時間仕事を続けられる持続力であり、そういう能力は実は女性のほうが優れている。(そもそも神は「再生産」する能力を女性に賦与していることからして女性のほうが男性より持続力という体力は高いことがわかる。現に女性のほうが長寿ではないか)
「キツイ」科の代表の外科だが、手術だって、強い筋力は無論不要だし、手先の器用さに男女差があるとは思えない。むしろ一般的に女性のほうが指先が細く、細かい手技は女性のほうが有利ではないかとさえ思われる。
学力も女子学生のほうが男子より高いらしい。もともとの能力は同等だろうが、医師になろうとする意欲・真面目さが女子のほうが高いことの現れだろう。
結局のところ、女医が結婚・出産しても同じ仕事が続けられるような環境作りを大学医学部、病院、更には行政が怠ってきたことが今回露呈したのではないか。
どうしても「経営」を考えなくてはならない私立大学や私立病院だけで問題解決は困難である。政治・行政が、女医の比率の高い諸外国の例を参考にするなどして、院内保育所の充実整備に助成する等の対策を講じてほしい。
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以上のような意見を朝日新聞「声」に投稿したところ、久しぶりに採用された。ただ、字数制限で圧縮され、表題も変わった。他の3人の意見も頷けるものなので、合わせて掲載します。