・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の社会論(21)
いまだにすっきりした結末が得られない「森友」問題。というか、最近は北朝鮮関連ニュースですっかり報道されなくなったような・・・。
官僚時代の経験を踏まえて言うと、どう考えても官僚の判断だけであの9億円→1億円という「世紀の値引き」ができるとはとても思えない。当然、官僚から見て天の声―政治家・国会議員が介在したに違いない。それも野党でなく与党の「陣笠」ではない程度の力のある議員ではなかろうか。一般に中央官庁のキャリア官僚といえども国会議員には弱い。頼まれれば断りにくい。「口利き」なんてのは霞が関ではフツーにあったと記憶する。ただ、国家予算を牛耳る権限をもつ財務官僚(私の時代は大蔵官僚)には、さすがの国会議員も一目置いているというが、今回はさすがの財務官僚も「天の声」に服従したようだ・・・。
「口利き」は人口に膾炙した言葉だが、今回の報道で俄然有名になった言葉がある。「忖度(そんたく)」だ。広辞苑では
○そんたく【忖度】
(「忖」も「度」も、はかる意)他人の心中をおしはかること。推察。「相手の気持を―する」
と解説されている。籠池氏の意向を汲み取った某国会議員の心中を財務省がおしはかって「大安売り」をしたということか。
これとよく似た意味の言葉に「斟酌(しんしゃく)」がある。
○しんしゃく【斟酌】
②その時の事情や相手の心情などを十分に考慮して、程よくとりはからうこと。手加減すること。「情状を―する」「―を加える」
どうも、「斟酌」のほうが回りの状況を踏まえる意味合いがあるようで、主観性の高そうな「忖度」より客観性が高いと言えそうだ。客観性があれば、9億円→1億円なんて値引きはできないだろう。
最近届いた楽しい葉書をお示しした。知り合いの1級建築士の方だが、時事問題やニュースに絡めた、非常にウィットに富んだ素晴らしい絵と文を、定期的に送ってくださる。その才能はすごいと感心してしまう。コイケ―カゴイケ、モリド―モリトモなんて思い付きもしなかったなぁ。
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「忖度(そんたく)」
2017.04.15