・・・・・・・・・・・・・河辺啓二のスポーツ論(7)
オリンピックは、やはりおもしろい、感動や感激を与えてくれるものだ。4年に1度しかない、多数のスポーツ競技を世界中のトップ選手が一堂に会して行われるという特殊性からか。普段からテレビ観戦できるサッカーやテニスと違い、重量挙げとかバドミントンとか、あまりテレビで観ることの少ないスポーツに触れられるという喜びがあることは確かだ。特に私のような「非スポーツマン」でも観戦するとついつい見入ってしまう。世界最高峰のプレイヤーが最高の演技を行おうと必死の形相を見せてくれるのは、実に美しいものだ。勝者にも敗者にも魅せられてしまう。
とはいえ、メダル獲得者、特に金メダリストが、最高に素晴らしく見えることは否めない。
順位国・地域 金 銀 銅 合計
1米国 46 37 38 121
2英国 27 23 17 67
3中国 26 18 26 70
4ロシア 19 18 19 56
5ドイツ 17 10 15 42
6日本 12 8 21 41
7フランス 10 18 14 42
8韓国 9 3 9 21
9イタリア 8 12 8 28
10豪州 8 11 10 29
今大会では、金メダル12個(第6位)、メダル総数41個(第7位)と「スポーツ大国」と喧伝してよいくらいの実績を残した。そこで注目したいのが、世界第3位の証である銅メダルの数だ。日本の21個は、米国、中国に次ぐ第3位の数である。確かに派手な金メダルに比べ、銅メダルというのはその色のとおりやや地味な印象がある。その「大量生産」に最大寄与したのが、柔道だ。男子60kg級・66kg級・81kg級・100級、女子48kg級・52kg級・57kg級・78kg超級と、男女合わせて8個も稼いでいる。これらの選手は全て金メダルを取れる程の実力者であり、実際金メダルを期待されて出場している。だから、みな、試合後のインタビューでは、メダル獲得の喜びより、金メダルを取れなかった悔しさをにじませていたものだ。私がいたく感心するのは、どの選手も、途中敗れて敗者復活戦に回っても「くさらずに」懸命に戦った姿である。金メダル狙いでしかもその可能性が高い試合に臨んでその可能性が絶たれた場合、フツーのメンタリティーの人間なら「くさって」しまうのではないか。彼らの精神力に心から拍手を送りたい。