2015.12.01
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(22)
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が調剤薬局の報酬を引き下げるため、後発医薬品の使用割合が60%未満の場合に診療報酬の点数を減算し、薬局の収入が減る仕組みを提案した。高価な先発品を減らし、安価な後発品を増やす政策がますます強まる様相だ。
このような財政主導の医療政策は、果たして国民の健康の維持増進に寄与しているのか、はなはだ疑問であると言わざるを得ない。私たちのような臨床現場では、患者さんから「ジェネリックは効かないので、元のクスリ(先発品)にもどしてほしい」と要請されることはたびたび経験する。後発品はすべて効きが悪いとは思わないが、このように効きが悪いものも存在することは確かだ。「効きが悪い」と感じるのは自覚症状だが、自覚症状に現れない「効きの悪さ」もあり、これは検査してやっと判明する。
更に、ジェネリックにしたら自覚できる副作用が生じたという例を経験することは少ないが、自覚症状に表れない(血液検査等で初めて判明する)副作用が生じる可能性は否定できない。
財務省・財政審の偉いお役人・先生方に聞きたい。あなたたちの年代からして、高血圧等の生活習慣病を有している人は少なからずいるはず。皆さんは、安いけど効きは悪いジェネリックを毎日のんでいるのですよね。