・・・・・・・・・・・・・河辺啓二のTVドラマ論(8)
昨日(6月29日)、TBSテレビ「水戸黄門」スペシャル版を見た。久々のコーモン様だ。これほど安心して観られる番組はなかった。究極のワンパターン「勧善懲悪」ドラマと揶揄されながら、長年にわたって愛されてきた国民的時代劇の一夜限りの登場である。
かつて、毎日午後4時から再放送があった。これを観ることを日課とする高齢者が多かった。だから、5時過ぎてから、私のクリニックは、ややお年を召した患者さんで込むことがあった。この再放送番組を見終わってから来院される方のためだ。
かく言う私も好きだった。何十年も前の独身時代の話だが、電話の留守録の受付曲を「じ~んせ~い、らくあ~りゃ~」ワンコーラスとしたことがあった。ウケ狙いだったが、待たされる友人、知人から顰蹙を買い、しばらくして取りやめた。でもあの歌の歌詞は、若かったあの頃も、そして、今も私の人生訓だ。
「ああ人生に涙あり」
人生楽ありゃ苦もあるさ
涙の後には虹も出る
歩いてゆくんだしっかりと
自分の道をふみしめて
人生勇気が必要だ
くじけりゃ誰かが先に行く
あとから来たのに追い越され
泣くのがいやならさあ歩け
人生涙と笑顔あり
そんなに悪くはないもんだ
なんにもしないで生きるより
何かを求めて生きようよ
さて、今回の2時間スペシャルだが、最後に大どんでん返し(いつもは善人役の田村亮が実は悪人)があるなど、なかなかおもしろかった。ただ、昔の水戸黄門を見慣れた私ら中高年にとって、世代交代で、若返った助さん・格さん、内藤剛志の弥七、林家三平の八兵衛など、前任の風貌・気質をよく継承してはいるが、わずかに違和感を覚えた。でも見事に演じられていると感じる。
今回のようなおもしろいドラマならまた観たいと思った。半年に1回くらい放映してくれないかなぁ。