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・・・・・・・・・河辺啓二のTVドラマ論(6)
最近の毎日のお楽しみは、仕事の後の夜、その日の午後3時~に録画したBSフジの「項羽と劉邦」を観ることだ。一般的にはより人気の高い「三国志」も好きだが、中国古代ドラマの中で「項羽と劉邦」は一際楽しめる。まずは横山光輝の漫画から始まり、司馬遼太郎の文庫本、そして通信販売で購入したDVDとほとんど「制覇」したつもりだが、連続テレビドラマというのは初めてだ。
私がこの物語に惹かれるのは、いくつか理由がある。
①後に脚色された「三国志演義」と違い、概ね史実に基づいていること―司馬遷の「史記」によるからだろう―
②なにしろ「漢字」、「漢文」、「漢民族」等の言葉のもととなる「漢」、前漢・後漢を合わせると約4世紀も続いた「漢」の初代皇帝となる劉邦の物語であること
③その劉邦が庶民―農民出身であることがおもしろい。多くの中国王朝で農民出身の皇帝は、この劉邦と「明」の初代皇帝朱元璋だけだ。四国のド田舎の農家生まれの私だけに興味が沸く。
④「四面楚歌」など、有名な熟語を生み出している。「三顧の礼」「泣いて馬謖を斬る」「髀肉之嘆」など「三国志」の中にも多くの故事成語を認めるが、「項羽と劉邦」の中にも「四面楚歌」のほか「馬鹿」「左遷」「国士無双」「背水の陣」「虞美人草」など現代日本で用いられている言葉の語源が紹介されていて興味深い。
⑤時代が紀元前200年頃の話というのがすごい。「キゲンゼン」なのだ。こんな大昔に始皇帝が巨大な建築物をつくっていた事実に驚かざるを得ない。
さて、ドラマのキャストだが、中年男の劉邦、血気盛んな青年の項羽の役にそれぞれ似つかわしい中国や台湾の有名俳優が当たっている。すごいなと思うのは、上記の「虞美人草」の語源・虞美人―虞姫(ぐき)を演じる女優の美しさだ。絶世の美女、傾国、傾城(けいせい)というのはこういう女性のことだろう。史実でもこれくらい美しかったのだろう(大昔の美的感覚は、本当はわからないが)、英雄・項羽の心を掴むにふさわしい容貌だ。なお、劉邦の正妻・呂雉(りょち)役の女優も大変な美人だが、実際の呂雉の容貌はどうだったかわからない。中国史に詳しい人は知っているだろうが、この呂雉、皇帝に即位した夫・劉邦が亡くなった後、その愛人(戚夫人)にとんでもない仕打ちをしている。ここで述べるのはおぞまし過ぎるので割愛する。
ともあれ、このドラマ、男優はそんなに「イケメン」が出ていると思えないが、女優陣は美人が多いように思える。世界最大の人口を抱える中国だから、そのぶん美女も多いということか。
http://www.bsfuji.tv/kingswar/about/index.html