・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(5)
2月14日のブログでも述べたように、日本はワクチン後進国である。新型インフルエンザワクチンしかり、日本脳炎ワクチンしかり。日本がアジアの中で最も進んでいる気になっているが、例えば、香港では、通常、幼少期にB型肝炎ワクチンが接種されているなど、他国で日本より優れた公衆衛生策が講じられているようだ。
最近発売されたものでは、子宮癌ワクチンがあるが、これも国からの助成は一切なく(先進的な地方公共団体では、助成するところもあるらしい)、全額自己負担のため、普及は遅々たるものだ。なにしろ、1か月ごと3回接種で完結するが、合計約5万円もかかるワクチンなのだから。5万円で子宮癌に罹る確率が低下するのが、高いと感じるか安いと感じるかは、個人の考え・財政状況によるだろう。
少し前に認可されたものでは、小児のヒブワクチンがあるが、これにしても、国費投入はゼロだし、そもそも各先進国が何年も前から行っているのが、やっと日本で認可された「遅きに失し」かねなかったワクチンだ。こちらのほうは、メーカーの供給より需要のほうが高いようで、病院によっては、何か月も待たされる場合があるようだ。要するにメーカーの供給体制が潤沢でなく、一医療機関当たり、一か月当たり○人分までという「縛り」が実施されているのだ。メーカーの話では、近々、この「縛り」が解除される見通しだとか。
多くの医療先進国で行われているワクチンが、日本でもやっとおおむね受けられるようになってきたことは喜ばしい。「認可」の次は「助成」だ。公衆衛生策の一環として、公費負担によるワクチンをどんどん増やしてほしいものだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
上記と同様な内容を読売新聞「気流」に投稿したところ、3月9日掲載されました。以下は、同新聞社に送った投稿原稿です。実際に(若干手直しされて)掲載されたものは、「メディア(その他)」のコーナーに示します。
●ワクチン後進国から脱却を
「命にかかわるヒブワクチン増やして」(22日)に共感。日本は、医療先進国とはいえ、ワクチンでは後進国なのだと痛感する。
「麻疹輸出国」という不名誉な称号を得て、麻疹ワクチンが2回接種になったのが、やっと4年前のことだし、5年前から副作用問題で国から積極的推奨の差し控えが継続している日本脳炎ワクチンは、再開への万全な態勢が未だ整っていない。
ヒブ(インフルエンザ菌b型)ワクチンにしても、そして最近発売された子宮癌ワクチンにしても、海外では既に多くの国で使われており、「やっと」日本で認可されたものだ。
しかも、これらのワクチンは、国からの助成は一切なく(先進的な地方公共団体では、助成するところもあるらしい)、全額自己負担のこともあり、接種率は高いとは言えない。
多数の国で行われているワクチンの多くが、日本でやっと受けられるようになってきたことは喜ばしい。「認可」の次は「助成」だ。新型インフルエンザワクチン接種に国の助成が全くなかったことが記憶に新しいが、公衆衛生策の一環として、公費負担によるワクチンをどんどん増やしてほしい。