・・・・・・・・・河辺啓二の音楽論(8)
5月17日は、驚きと落胆の日であった。
わずか半年でPaul McCartneyが来てくれる!Rolling Stones 興奮冷めあらずの時に入って来たニュースに喜び、いつものようにチケット争奪戦に突入したものだ。
そして激戦の末、17・18日の国立競技場、そして途中から組まれた21日の武道館コンサートの3回分のチケットをなんとか獲得。17日・18日が土日というのもありがたいし、しかも取り壊し目前の国立競技場は行ったことないし、そもそも野外のコンサートでポールを聞くなんて初めてだ(いつも東京ドーム)。相当荒れた天候でない限り決行する予定だったが、両日とも天気は全く問題なしだった。なのに「ポール・マッカートニー本人の体調不良により本日は中止となりました」というアナウンスが鳴り響いたのだ。
17日(土)、通常どおり半日の診療を終え、わくわくしながら東京に向かう車の中で先発隊の知人からの携帯電話で中止を知った。耳を疑った。71歳とはいえ、あれほど健康に留意し(ポールは菜食主義者)、半年前のコンサートでも3時間近く40曲近い曲を一人で歌うほど元気だったポールが・・・。翌18日(日)は、行う予定だと。「たった1日で回復するのかなぁ」と心配しつつ、予約していた東京のホテルに宿泊。
18日(日)は、楽しみだった。やはり大激戦の「サウンド・チェック」のチケットを得ていたから。「サウンド・チェック」というのは、コンサート本番前のポール及びメンバーの音合わせの場所に居合わせることができ、本番には演奏しない曲も聴けるものらしい。コンサート開演よりも何時間も前に集まるように指示され、数百人程度が座れる大学の教室のような部屋に順番に誘導された。その前に、チケットに記載された氏名と持参した身分証明証との照合(ダフ屋などの介入防止だろう)があった。
さて、その大部屋だが、昨日ドタキャンされたお客もいて、かなりの人数だった。「今日こそは」とみんなが思って待っているも、いっこうに担当者らからアナウンスがない。私の後ろから「昨日と同じ雰囲気になってきたなぁ。」という声が。昨日ドタキャンされたファンだ。どこかの席からは「どうなっているのか」と担当者(スーツ姿の若い男性ばかり。←噂ではキョードーのバイトだとか)にいら立つ声も。情報のない若い担当者たちも困り顔。また、後ろのファンが話し合っている。「私たち、まるで「被害者友の会」のようになってきましたね。」「昨日は、コンサート中止を知って駅員に詰め寄る人がいたとか(笑)。」(混雑を未然に防ぐため、中止が決まると周辺の駅に連絡が行き、駅内でアナウンスされたらしい。18日も同様)
そこにいた数百人のポールファンは不思議な連帯感でつながっているようであった。見知らぬ人同士が話し合うのが不自然でない雰囲気なのである。
やがて、開演時間前1時間くらいになって中止の正式発表。ポールの代理人らしい白人女性が来て英語でポールの謝罪コメントを発表した。18日当日の中止のみならず、17日の分の振り替え予定の19日(月)も中止だと。ただし、21日(水)の武道館は行う予定らしい。その日の夕方、ブドーカンへの一縷の希望を持ってトボトボ群馬に帰って来た。
う~ん、2~3日で回復できるのかなぁ。まさか、48年前のときのビートルズと同様、11曲40分で終わりというつもりではないだろう。また、当日、開演時間直前に武道館で中止発表もあり得るなぁと思っていたら、今回は、前日の20日(火)午前に「はやばやと」中止発表、24日(土)の大阪公演も中止だと。ポールの病状は「ウイルス性炎症」としか発表されず、結構重いのではと危惧された。そもそも「ウイルス性炎症」なんて医学用語はあまり使わない。単なる風邪だって「ウイルス性炎症」の1つだ。ノロかヘルペスか・・・揣摩憶測が飛び交う。日本に来る前は中南米をコンサート・ツアーしていたから、そこでウイルス感染し、潜伏期間を経て日本で発症したのか・・・。世界最高水準の衛生と医療を誇る日本で世界一のスーパースターが感染症を発症するなんて・・・。世界の人たちはどう見ているのだろう。
後日のネット情報では、感染が元で腸捻転を起こし日本の病院で手術を受け、無事回復したところで、26日(月)、密かに離日したらしい。とっくに中止発表されていた28日の初の韓国コンサートにも鑑みれば、日韓のポールファンは、ともに落胆、意気消沈である(「ペットロス症候群」ならぬ「ポールロス症候群」?)。6月半ば~8月に、アメリカツアーがあるらしい。病み上がりで無理しない程度に復活する姿を見せることを期待しよう。そしてその後、今年の秋~来年、日本に来ることを祈念する次第である。
〔追記〕
ポールへの激励メッセ-ジの募集があったので、以下のメッセージを事務局に送った。まさかポールが読んでくれるとは思われないが・・・。
To dear Paul
Save us!
We all Japanese are suffering from
“ PAUL LOSS SYNDROME” !
The only treatment for this disease is
your complete recovery and
your promise of coming back soon to Japan !
We all have loved you and your music for 50 years !
(ちなみに、「Save us」というのは、新作アルバム「NEW」のオープニングの曲)