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亡くなったことを祝う英国民に違和感

2013.04.28

・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の社会論(14)

あのマーガレット・サッチャー元英国首相が87歳で亡くなった。どんな政治家にも毀誉褒貶がつきまとうものだが、この「鉄の女」に対して世界の論評がおおむね肯定的であったのに比し、驚いたのは、「反サッチャー」派の一般国民の集団が彼女の死を祝っている様子だ。イギリス各地では首相在任中のいわゆる「サッチャリズム」政策によって労働者階級や移民など「切り捨てられた市民」の間では「彼女の死を祝賀するパーティ」が見られた。犯罪者でも亡くなった人にはある程度の敬意を払う私たち日本人のメンタリティーからして極めて違和感を抱からざるを得ない。
彼女が英国初の首相として在任したのは、1979年~1990年で、私の官僚時代と重なる時期で、私が官僚のときの英国首相はずっとサッチャーだったことになる。私がサッチャーに関心を持ったのは、女性首相ということより大学時代(オックスフォード大学)の専攻が化学であったことだ。同じ化学を専攻しながら事務系官僚を目指していた私にとってサッチャーの経歴は励みになったと思われる。若い頃は美貌を誇っていた彼女が白衣姿で試験管を手に化学実験をしている姿の写真を覚えている。彼女は、大学時代に経済学を勉強したり、更には結婚を機会に法律を勉強し弁護士資格を取得したりしている。その後政治家になっているのだ。
話を戻すと、冒頭のような英国民の姿に対し、我が国のどのメディアも中立的に報道していた。しかし、私と同感の日本人は多いのではないか。これら英国民はキリスト教だと思うのだが・・・。確かに政治家、特にトップの首相や大統領なんてのは、どこかのような独裁国家ではない民主国家では毎日のように批判されるのが健全な姿なのだろうが、20年も前に政治の表舞台から退き認知症にもなった「お年寄り」の死を祝うなんて私は理解できない。