・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(21)
原発問題に関して言えば、今回の選挙は、脱原発に消極的な自民党の圧勝と、やはり脱原発に慎重な考えの石原氏を党首とする維新の会の大躍進で終了した。
一般国民のアンケートでも、景気雇用対策に比べ原発問題ははるかに小さい重要度であった。多くの日本国民は、経済や景気を断然最重要視していることが明らかとなった。
昨年のあの悲惨な原発事故の直後は、多くの人は脱原発を考えたはずだ。しかし、長引く不景気や低調な雇用情勢の中で、人々は「食べていけなければ話にならない」と経済状況浮上に負の影響になりかねない脱原発に消極的になってしまったのだろう。
たしかに、脱原発や卒原発の方針を旗幟鮮明にした多くの政党に具体案が乏しいことは認めざるを得ない。しかし、財源や経済政策とのバランスに鑑みれば、誰もが納得できるような具体策を提示することは極めて困難ではないか。
原発廃棄物の管理に気が遠くなるような年数やコストがかかることが明らかとなり、それを今の世代の子々孫々が負担することがわかっていても、とにかく今の世代が「食べていく」ことが重要なのだという国民の総意なのだろうか。
どうやら日本人というのは一度くらいこっぴどくやられても懲りない民族なのだろう。広島、長崎と二度も原爆を落とされて降伏を決めたように、もう一度「想定外の」地震・津波が来て、どこかの原発が大事故を起こし、大量の放射線拡散を経験してやっと脱原発を決心するのだろう。