・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の社会論(13)
現在元素周期表にある元素記号の発見者は、すべて欧米である。ここに、欧米以外では初の、つまり初めてアジアの研究機関が見つけた元素が認められそうになった。113番のウンウントリウムだ。日本の理化学研究所の快挙である。ウンウントリウムは仮の名で、今後、国際学会に認定されれば、元素の命名権が得られ「日本」に因んだ名称が付けられる可能性が高くなった。百年ほど前に、日本人科学者が発見した43番元素「ニッポニウム」が認められそうになるも取り消されたことがあるが、今回は間違いないようだ。
一昨年の小惑星探査機はやぶさの成功といい、先日の山中教授のiPS細胞でのノーベル賞受賞といい、まだまだ我が国の科学研究のレベルは捨てたものではないと感じる。電機産業等工業の諸分野で中国、韓国の後塵を拝するようになったとはいえ、また、学術論文の被引用数において日本が凋落しているとはいえ、今のところ、中国や韓国で、新しい元素記号が発見されたこともなく、自然科学(物理学、化学、医学・生理学)分野でのノーベル賞受賞者は皆無だ。(我が国政府は、科学技術政策や理科教育の充実強化を怠ってはならないことは言うまでもない。)
もちろん、昨年の大震災で見せた日本人の冷静さ、協調性、道徳性も誇りとしてよいが、このように我が国の「頭脳」が世界最高レベルにあることに(文学や音楽などでも高水準にあることも含め)自信と誇りを持つべきだろう。
日本が政治や経済で世界的に劣勢に立たされていようとも、近隣諸国と領土問題、歴史問題で軋轢があろうとも、私たちは日本人としての矜恃を保持していきたい。