2012.08.05
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の教育論(6)
昨今、次々と表面化する学校の「いじめ」問題を見るに危惧するのは、教師を目指す若者が減少するのではないかということです。
確かに、テレビ等で報道される、「いじめ」に関係した校長等教師や教育委員会の方々の「釈明」は事なかれ主義という誹りは免れないと思います。しかし、彼らも教育者を目指した若者の時は美しい志(こころざし)を持っていたに違いありません。それが、年齢や経験が増えるにつれて、「教育」より「保身」を重く見る「お役人」になってしまったのでしょう。教師は雑用が多く、激務で、時間的精神的余裕がなくなっており、また扶養すべき家族を抱え、なるべく波風を立てないで現在の生活を維持していきたいと思ってしまうのは、ある程度しかたがないような気がします。
現在、大学教育学部に在学する学生やそうでなくても将来教師を目指す大学生や高校生の中には、「いじめ問題で教師は大変だ」と思って教職に就くことを敬遠する人が増えやしないかと心配です。もちろん、「事なかれ主義の公務員先生」では困りますが、是非教師を目指したときの高くて美しい志を保持して、夢を実現してほしいものです。国土も狭く資源も乏しい日本が、曲がりなりにも、世界の中で先進国の位置を維持しているのは、人材育成、すなわち教育のおかげなのです。その重要な教育を将来担おうとする若者たちよ、その志を捨てないでください。