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・・・・・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の音楽論(23)
〈大好評の映画〉
結構評判がいいと知り、映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観た。東京では予約しないと観られないほどの人気だと聞いてはいたが、グンマなら大丈夫だろうと、21時過ぎから始まる回に入った。やはり、お客さんはまばらで、ゆったりと観ることができた。
映画の出来は、とてもよいと言える。単なる人気バンドのドキュメンタリー再現ではなく、「映画」としてのドラマ性と名曲を楽しめるエンタテイン性が見事に調和している作品である。世界各国でも絶賛上映され(配給会社も驚いているらしい)、日本では、私らのような中高年世代だけでなく、若い世代にも大ウケとのこと。
〈クイーンと日本人は相思相愛〉
もともと、世界よりも日本のクイーン人気は高い。彼ら、特に中心人物のフレディ・マーキュリーは親日家とされる(一部日本語の「手をとりあってLET US CLING TOGETHER」という曲もあるくらい)。クイーンの日本での人気を示すものとして、カラオケ店の機械に何曲入っているか、がある。私の知る範囲では、洋楽でトップはもちろんビートルズは、堂々の第2位はクイーンだ。私の好きな、ローリングストーンズ、ビージーズ、サイモン&ガーファンクル、シカゴ、カーペンターズ、ビリージョイルなどの収録曲数はクイーンに比べるとはるかに少ない。
〈ビルボードチャートの中のクイーン〉
クイーンは、世界で大ヒット曲を連発かと思いきや、意外とそうでもない。代表的ヒットチャートであるアメリカ・ビルボードでみると、全米ナンバーワン曲は数曲しかない。以下のランキングにないのだ。(当ブログ、2015年8月2日付け「全米シングルNo.1獲得曲数トップのアーチストは?」より抜粋)
●全米1位獲得曲数(Billboard)
1位20曲 The Beatles
2位18曲Mariah Carey、Elvis Presley
4位13曲Michael Jackson、Rihanna
6位12曲Madonna、The Supremes
8位11曲Whitney Houston
9位10曲Janet Jackson、 Stevie Wonder
11位9曲Bee Gees、Elton John、Paul McCartney/Wings、Usher、Katy Perry
16位8曲George Michael、The Rolling Stones
18位7曲Phil Collins
19位6曲Diana Ross、Daryl Hall and John Oates、Paula Abdul、Bruno Mars
〈クイーンの売り上げ実績〉
とはいえ、前期のベストアルバムである『グレイテスト・ヒッツ』は全世界では2500万枚以上を売り上げ、その英国での売り上げは、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』などのアルバムを抑えて歴代1位を記録しているという。
また、シングル曲では、「ボヘミアン・ラプソディ」は、英国で現在までに約254万枚のセールスを記録しており、エルトン・ジョンの「キャンドル・イン・ザ・ウインド〜ダイアナ元英皇太子妃に捧ぐ」(493.5万枚)、バンド・エイドの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」(380.2万枚)に次いで、英国史上三番目に売れたシングルとなっているらしい。2002年にギネス・ワールド・レコーズが調査した「英国史上最高のシングルは?」というアンケートでは、「イマジン」(ジョン・レノン)、「ヘイ・ジュード」(ビートルズ)を抑えて「ボヘミアン・ラプソディ」が第1位となり、イギリスで最も愛される曲に認定されたというから驚きである。
更に、1980年に発表したシングル「地獄へ道づれ」は全世界で700万枚以上売り上げ、1980年アメリカで最も売れた曲となったらしい。
〈なぜこの映画が受けるのか〉
さて、映画「ボヘミアン・ラプソディ」だが、生い立ち・容姿に劣等感があったとされるフレディーがその非凡な歌唱力・声量とビートルズにも迫る曲作りの才能で、率いるクイーンを世界トップのバンドとなるまで駆け上るサクセスストーリーがおもしろいだけではない。もちろん名曲の数々が楽しめるというのもあるが、フレディーを演じるラミ・マレックのその悲哀を感じさせる表情、演技が何とも素晴らしい(歌もうまいが)。洋画に疎い私は知らなかったが、もともと知られたアメリカの俳優らしい。実物のフレディーが純粋な欧米人でない(インド系イギリス人)のと同様に、ラミ・マレックはエジプト系アメリカ人だ。かなり似せてはいたが、ラミはフレディーほど長身でなく脚も長くはないようだ。眼はフレディーより大きく、長髪時代の彼はフレディーというより、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーによく似ていたと思う。
最初はフツーに女性の恋人がいて「あれ?」と思っていたら、ストーリーが進むにつれてバイセクシュアル、ゲイと変化していったように見えた。男性同士のキスシーンも何度かあり、やれやれという気もしたが、(そのケのない)演じる男優も大変ですね・・・。まぁ、天才は得てして変わった「性癖」があるようで・・・。