・・・・・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(24)
以前は食事に関する「健康本」、特に1日1食、あるいは少食などを奨励する著書をよく読んでいたが、最近は睡眠に関する「健康本」をよく読むようになった。
例えば、
「スタンフォード式最高の睡眠」(西野精治)
「朝5時起きが習慣になる5時間快眠法」(坪田聡)
「やってはいけない眠り方」(三島和夫)
などはかなりよい示唆を与えてくれた。健康を維持するには、食事、運動と並んで重要なのはいかにして「よい睡眠」をとるかということなのだが、実は医学部で睡眠のことはほとんど学ばない(ほかの2つもそうだが)。
健康で長寿を達成する最適な睡眠時間は、統計上は7時間らしい。しかし、5時間で済むなら1日2時間、月で60時間、年で730時間も「浮く」ことになる。これは大きい。700時間もあれば、いろんなことができる。まとまった勉強あるいは趣味も可能だ。単純に日数でカウントすると、730÷24=30日分となる。つまり、5時間睡眠を続ければ、1年当たりまるまる1か月「生産」できる。もっと言うと、1日当たり活動時間を24-7=17時間とした場合、730÷17=約43日分、つまり、12年続ければ実質は13.5年分の「活動」となる。健康・長寿に最適な7時間を選ぶか、5時間睡眠で寿命が多少減少するかもしれないが、12年で1.5年分「得」するほうがいいのか。私は後者を選びたい。なぜなら、今後どんどん老いて行く自分が、衰えがひどくなった人生を長く生きるより、少しでも若い今の状態を長く「活動」したいと思うからだ。
いかにして5時間睡眠で、日中眠気に襲われずに仕事ができ、夜は自然な眠気で入眠したいというのが私の目下の願望である。
なお、もっと以前に、睡眠3時間という超短眠者―ショートスリーパーの人が書いた本を読んで模倣しようとしたが、さすがに私には無理だった。世の中には稀ながらこういうショートスリーパー体質の人はいるらしい(歴史的に有名なナポレオンとか)。
さて、睡眠時間を検討する際に、必ず考慮するのが、今や人口に膾炙しているREM睡眠とnonREM睡眠だ。睡眠中にこの2つがほぼ1.5時間周期で繰り返すというが、特に最初の周期、すなわち寝入って最初の1.5時間が最重要とされる。睡眠3時間の超短眠の場合―1.5時間×2サイクル、5時間の場合―1.5時間×3サイクル+α(誤差)ということになる。
今年の夏には、日本睡眠総合検診協会主催の医科医師睡眠技術講座に参加して勉強した。今後も「睡眠学」の学習をしながら自らの睡眠の質改善を図ってまいりたいと思っている。
記事一覧
最適な睡眠時間は
手足口病
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(23)
2017年7月6日(木)付け上毛新聞に、私の名とコメント少々が掲載された。
掲載前日の5日(水)に同新聞の記者からクリニックに電話があり、ちょうど患者さんがあまりというかほとんどいなかったこともあって、アポなしの「電話取材」を受けたのである。手足口病が太田地域に多く発生しているという。小児専門でないせいか、今年特に多いという実感がないことを伝えた(なぜ小児科医でない私が取材対象として選ばれたか不明)。特効薬など治療法はないこと、原因ウイルスは複数あるため、一度かかってもまたかかることがあること、最近診る患児は、手足口だけでなく、他の部位に発疹が出る亜型のものが多いこと、発症した場合、口腔内の痛みで摂食が困難となることが最も困ることなどお話したが、紙面の都合上、私のコメントで多く割くことはできず、結局掲載されたのはありきたりな予防策くらいなものであった。
クスリは安けりゃいいのか
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(22)
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が調剤薬局の報酬を引き下げるため、後発医薬品の使用割合が60%未満の場合に診療報酬の点数を減算し、薬局の収入が減る仕組みを提案した。高価な先発品を減らし、安価な後発品を増やす政策がますます強まる様相だ。
このような財政主導の医療政策は、果たして国民の健康の維持増進に寄与しているのか、はなはだ疑問であると言わざるを得ない。私たちのような臨床現場では、患者さんから「ジェネリックは効かないので、元のクスリ(先発品)にもどしてほしい」と要請されることはたびたび経験する。後発品はすべて効きが悪いとは思わないが、このように効きが悪いものも存在することは確かだ。「効きが悪い」と感じるのは自覚症状だが、自覚症状に現れない「効きの悪さ」もあり、これは検査してやっと判明する。
更に、ジェネリックにしたら自覚できる副作用が生じたという例を経験することは少ないが、自覚症状に表れない(血液検査等で初めて判明する)副作用が生じる可能性は否定できない。
財務省・財政審の偉いお役人・先生方に聞きたい。あなたたちの年代からして、高血圧等の生活習慣病を有している人は少なからずいるはず。皆さんは、安いけど効きは悪いジェネリックを毎日のんでいるのですよね。
ノロウイルス検査に保険適用を
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(21)
ノロウイルスによる感染性胃腸炎が現在大流行している。これが原因で死亡者も出るほどとなっている。残念ながらノロウイルスにはワクチンも特効薬もなく、制吐剤や整腸剤、あるいは点滴等による対症療法しかなく、根治の治療法がない。手洗いなど予防策の励行しか対策のない状況が続いている。
せめて、ノロウイルス感染の診断は、インフルエンザのそれのように、各医療機関で簡単に行われるものと思いきや、実はそうではない。それらしい患者さんに「ノロですか」と詰問されても、私たち医師は症状等から「おそらくノロでしょう」としか言えない。
というのは、ノロの場合、インフルエンザと同様な15分で判明できる検査キット(糞便用)が4種類ほど実用化されてはいるものの、インフルエンザのように、どの患者さんにでも確定診断のための検査が健康保険でできるわけではないのだ。①3歳未満の患者、②65歳以上の患者、③悪性腫瘍の診断が確定している患者、④臓器移植後の患者など、保険の適用範囲が非常に狭くなっており、大部分の患者さんには適用できないのが現状なのである。
感染力の強さや重症化の可能性に鑑みれば、診断のための検査がインフルエンザには保険適用され、ノロには原則的に不適用というのは納得がいかない。厚生労働省は、インフルエンザ並みにノロウイルス検査に保険適用するよう、速やかに措置を講じてほしい。
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昨年12月、上記の投稿文を読売新聞「気流」に投稿したところ、年開けて1月8日(火)に連絡があり、修正の上、10日(木)に掲載されました。投稿してから20日ほど経っており、てっきりボツだと思っていただけに嬉しい気がします。新聞社も年末年始で通常のペースでなかったからでしょう。
(朝日新聞「私の視点」を除き、朝日「声」や読売「気流」は、採用候補になれば、通常、投稿後1週間以内には連絡が来る。だいたい2、3日のことが多い。)
内容的には時宜を得た話題であり、ノロ検査がインフルエンザ検査と同様に容易に受けられると誤解されている多くの患者さんに対する啓蒙になったのではないかと自負しています。
子宮頸がんワクチン対策の充実は少子化対策となる
(HPV抗体価測定法の早期確立を望む)
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(20)
子宮頸がんは、女性に特有のがんのうち乳がんに次いで罹患率、死亡率が高い。日本では年間約8500人が新規に診断され、約2500人が死亡している。ごく初期の場合を除き子宮摘出術が施行されるため、妊娠・出産が不可能となる。日本では、最近、出産年齢に当たる20歳代、30歳代の若年層で子宮頸がんの発生が増加する傾向にあり、少子化傾向に少なからず影響を及ぼしているように思われる。
子宮頸がんの主因がヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染であることが1980年代に明らかとなり、HPVワクチンによって子宮頸がんの一次予防が可能となった。つまり、子宮頸がんは予防可能ながんの一つとなったのである。
2006年にHPVワクチンが開発されてから、世界中で急速にワクチン接種による子宮頸がん予防が広がってきており、日本でも2009年10月にワクチンが承認され、当初任意接種だったが、2010年度からワクチン接種緊急促進事業として若年女子に対する公的負担が開始された。
当該緊急事業は、今年度末まで期間が延長されているが、これが恒久化されるべく、2013年度にも定期予防接種の対象とする方針を、最近厚生労働省が固めた。「ワクチン後進国・日本」も、やっと欧米の先進国の水準に並ぶこととなる。
しかしながら、現在2つのワクチン(二価ワクチン:HPV16型・18型、四価ワクチン:HPV16型・18型・6型・11型)が接種されているが、それによる実測免疫持続期間は6年~8年程度しか追跡がなされていない。(統計的手法で算出し「推計値」は20年あるとはされているが。)果たして中学1年生に接種したワクチンによる免疫が彼女たちの性的活動が高まる20歳代にまで持続しているかどうかは不明のままである。
例えば、かつて日本では麻疹ワクチンは幼少期の1回接種のみだったのが、10歳代、20歳代の年齢層を中心として罹患するケースが増えたことから、1回接種を見直し、2006年度から、風疹と合わせてMR混合ワクチンとして、中学1年又は高校3年で2回目の接種を、また、未就学児には、1歳時と年長児時に計2回の接種を、公費で行われることとなった。ワクチンによる免疫は、途中にブースター(免疫を高めること)がなければ通常減弱していくのだ。麻疹も風疹も抗体価を容易に血液検査で測定でき、片方の抗体価が十分に高ければ、低いほうの単独ワクチンを接種することも可能だ。2007年のときは麻疹流行だけで済んだが、HPVワクチンは、人命を奪う可能性の高い、そして命が助かっても出産不可能ならしめる子宮頸がんのワクチンだけに、麻疹ワクチンより重要性が高いと思う。
ところが、HPVの国際標準的な抗体価測定方法は未だ確立されておらず、外国の研究機関が保持する特許の「縛り」から、我が国では抗体価測定できる検査会社がないのが現状である。我が国の医学研究レベルの高さに鑑みれば、政府が大学医学部等を後押しすれば当該検査法の確立は実現可能ではないかと考えられる。
産婦人科、小児科の医療現場では、ワクチン接種後6年~8年以降のことはよくわからないという現状にある。すなわち、HPV抗体価の検査法の確立を図るとともに、麻疹の二の舞とならないようブースター接種に関する研究を深化させ、その対策を早急に講じてもらいたいのだ。もちろん、ワクチン接種のみですべての子宮頸がんが予防できるわけでない。政府は、がん検診率を高めるための普及啓蒙の促進も同時に行うことは言わずもがなである。さすれば、子宮頚癌罹患者が減少し、出生率上昇につながるのではないか。
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上記の内容を、5月末に朝日新聞「私の視点」に投稿したところ、6月に連絡が来て、以後担当者と協議・修正しつつ、また、数度の掲載延期(新聞という性格上、大きい事件があれば、そちらが優先されるのが当然)を経て、8月21日掲載となりました。
一昨年の日本脳炎ワクチン問題、昨年の降圧合剤問題に続き、3年連続3度目の「私の視点」掲載です。
同紙「声」に比べ影響力の大きい同欄だけに、嬉しい。
健康保険法に予防医学を
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(19)
7月17日付け朝日新聞社説「予防接種 防げる病から子を守れ」の中でワクチンを医療保険に組み込むことが提案されていた。この意見に強く賛同する。
そもそも現行の健康保険法の目的が
「労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」(第1条)
と対象がほぼ病気と怪我の治療に限定され、予防医学的観点は欠落している。ワクチンで重大な病気の予防ができるのだから、ワクチンに保険適用することは、まさに「国民の生活の安定と福祉の向上」につながるのではないだろうか。
費用負担については、現在のように財政事情の異なる市町村の財源に頼るのではなく、確固たる一元的な国の財源によるワクチンとするのが理想だが、今の国家財政事情から全て国が手当てするのは困難だろう。となれば、受益者負担の観点をも踏まえて、保険適用とするのが妥当ではないだろうか。すなわち、現在公費負担されているワクチンは、保険分以外の費用は自治体が負担し、公費負担されていないものは、保険分以外の費用は自己負担とするのが適当だろう。長期的視点に立てば、罹患した際の医療コストや社会的経済的損失の大きさを考えれば、ワクチンのための医療保険の支出のほうがはるかに安上がりであるに違いないと考える。
「たばこムラ」は「原子力ムラ」と同じか
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(18)
喫煙率の数値目標が初めて盛り込まれた「がん対策推進基本計画」が閣議決定された。2022年度までに成人の喫煙率を12%に低減させるという。遅きに失した感は否めない。ある推計では、喫煙が主な原因と思われる死者数は年間13万人以上、更には、他人のたばこの煙、すなわち受動喫煙が原因の死者数は年間約6800人にも達するという。
海外では公(おおやけ)の場での喫煙を法律で禁じているところが多いのに、喫煙者に甘い我が国にはそういった強い規制はなく、「健康増進法」で受動喫煙対策を努力規定している程度しかない。
喫煙率を下げる数値目標設定がこれまで導入できず、また、公共の場での受動喫煙防止策の強化が難航している背景には、たばこ農家、JTといったたばこ業界とたばこ税・JTを所管する財務省、そして飲食業界及びこれら業界とつながる政治家たち、すなわち政・官・業が一体となった「ムラ」が喫煙率低下阻止、受動喫煙の法規制阻止を図っていることである。
喫煙による発がんなどの健康リスクは、放射線量に換算すると年間1000~2000ミリシーベルトに相当するという推計がある。つまり、福島原発事故で国民に放射線被曝リスクを負わせてしまった張本人がいわゆる「原子力ムラ」とされているが、それより大きな健康被害をもたらすことが既に明白になっている喫煙を「保護」しているのが「たばこムラ」であると言っても過言ではないのではないか。
医療機関も生保悪用やめよう
・・・・・・河辺啓二の医療論(17)
人気芸人の家族の不適切生保受給問題は、現在の生活保護制度の仕組みや運用のあり方を見直す契機となりそうである。
そこで、注目しなければならないのが、生活保護費の国庫支出における医療扶助費の割合が約50%もあることだ。この経費の中には、不必要なものが相当含まれていると思われる。
知り合いの医師に聞いた話だが、昔、彼がある病院の勤務医だったとき、経営者から生活保護受給者の患者さんには、必要不必要にかかわらず、毎月CT検査等診療報酬の高い検査を行うよう指示され、しぶしぶ検査を行っていたという。明らかに不要で過剰だなぁと思われることも多々あったらしい。(最近の言葉でいえば、当該経営者の手法は、生活保護を食い物にする「貧困ビジネス」と揶揄されるものかもしれない)
昨今の景気低迷で収入の減った患者さんも多く、高価な検査施行あるいは高価な薬剤処方を考えるとき、ある程度は患者さんの懐具合を考慮しなければならないことがある。これに比し、生活保護受給者の患者さんの場合、その負担金はゼロであるため、(懐具合を)全く考慮することなく、しかも診療報酬は国と自治体が負担するので取りっぱぐれがないため、医師・医療機関にとって、とてもありがたい「お客さん」になっているのが実状である。
私たち医療機関は、経営本位に立つことなく、生保受給者だからといって、不要・過剰な検査や処方を行うことを厳に慎むべきである。そうすれば、生活保護費がかなり削減できるのではないだろうか。
メタボリックシンドローム基準の見直しを
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(16)
本来は「代謝」を意味する「メタボ」がいまやすっかり人口に膾炙し、あたかも「肥満」を示す日本語となってしまった感がする。
日本内科学会など8学会によるメタボリックシンドローム診断基準検討委員会が2005年に日本独自の「メタボリックシンドロームの定義と診断基準」を発表した。これを踏まえ、厚生労働省は、2008年度から、メタボリック健診(特定健診)が義務化し、健保組合や市町村などで、40歳~74歳の人を対象に開始された。
従来の定期健康診断との大きな違いは「腹囲」を重視し、メボリックシンドロームの診断基準の必須項目としていることだ。ウエスト周囲径(へそまわり)が、男性なら85cm以上、女性なら90cm以上あることが「最低条件」とされ、これに加えて高血圧か高血糖か血清脂質異常かのうち2つ以上該当すればメタボリックシンドロームと診断される。
確かに、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症は「死の四重奏」とも言われ、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血といった、生命をも奪いかねない動脈硬化性疾患の危険因子であることは間違いない。
これまで肥満の指標としてはBMI〔Body Mass Index:体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))〕が主に用いられてきた。このBMIによるデータよりも、腹囲(内臓脂肪)が脳・心臓疾患の発症と関連することが多く報告されてきたことから、肥満のリスク指標として腹囲がBMIより格段に重視されることとなったのである。腹部CT画像で精密に内臓脂肪を測定した場合、男性85cm・女性90cmが断面積100平方cmに相当するという。これはこれで大変意味はある。腹囲測定ならコストもかからない。
ただ、この85cm(90cm)でスパッと線引きすることが果たして適当なのだろうか。例えば、身長185cmで腹囲86cmの男性はメタボで、身長155cmで腹囲84cmの男性は非メタボと診断され得る。また、女性の90cmが男性のそれを上回っていることは、海外の基準から見ると珍しいと聞く。更に、ウエスト径の測り方により、検査者や被検者によっては、数cm程度のバラツキは生じかねない。厳密にはCTスキャンで内蔵脂肪量測定するのが望ましいが、コスト面から現実性は低いと言わざるを得ない。
これらのことを勘案し、腹囲のみをメタボ診断の「第一関門」とするのではなく、従来のBMIと腹囲とを融合させた肥満指標を構築してこれを「第一関門」にできないかということを提唱したい。つまり、身長、体重、腹囲の3変数を数式に代入して得られる「公式」である。指数関数や対数関数等が含まれてよい。もちろん、性差を踏まえ男女2とおりの「公式」になるだろう。日本国内適用のものだから、(人種差なく)日本人に関する膨大な疫学データからこれら3因子と動脈硬化性疾患の発症との関連を見つけ出すことは可能だろう。我が国には、統計学・数学に強い医学研究者は多数いる。是非、最適な「肥満指標公式」を考え出してほしい。その結果、多少複雑な数学公式であっても、ユーザーとなる私たち医師は、もともと理系であるので計算は全く厭わない。
また、メタボ基準改定に当たっては、上記の「死の四重奏」以上に重要な「喫煙」因子(これは、ガンについても極めて重要な危険因子)をもっと重要視するとともに、心筋梗塞等を引き起こす原因でもある腎臓疾患の早期発見に不可欠な血清クレアチニン値や、痛風を起こすだけでなく動脈硬化をも増悪させる血清尿酸値の測定も加えてほしいものだ。
予防接種計画はかかりつけ医とともに
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(15)
23日付け「予防接種 計画表を活用」を読みました。幼いお子さんを抱える多くの保護者の方々に大変参考になるものです。「予防接種後進国」の我が国でも、ここ数年は予防接種の種類が飛躍的に増え、特に、ヒブと肺炎球菌ワクチンが公費負担となったことで予防接種スケジュールが「過密」となりました。
私の診療所にも、毎日のように予防接種のお子さんが来られますが、つくづく感じるのは、なかなか予定通りに接種ができないということです。小学生以上の子供や成人と違い、乳幼児は風邪などで体調が悪くなることが多く、接種予定日を延期することがたびたびあります。このため、予防接種計画を立ててもその通りできる可能性はかなり低くなります。
このことを踏まえ、私は、接種をする度に「次は○○日以上開けて●●ワクチンをやりましょう」と保護者に伝えることにしております。接種間隔が1年以上など長い場合は、保護者が忘れないよう、母子手帳の予防接種欄に鉛筆でその旨記入してあげることにしています。私たちのような医療従事者でない、一般の方に、接種回数や接種間隔、生ワクチンと不活化ワクチンの区別まで覚えていただくことは、やや酷な話ではないかと感じるからです。
このように、保護者の方は、かかりつけ医とともに、予防接種計画を臨機応変に立てていけば、接種漏れがないようになると思います。
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3月23日(金)、標記の読売新聞の記事を読んでinspireされ、上記の投稿文を同新聞「気流」に送ったところ、採用となり、修正の上、28日(水)に掲載された。同じ月に朝日新聞と読売新聞に投稿が掲載されたのは、昨年2月以来である。今年は、本業の仕事以外は漢字の勉強に専念するつもりで(愛媛新聞の仕事もないし)、一昨年・昨年ほどは投稿しないだろうと思っていたが、今のところ3か月で3回掲載とハイペースになっている。「中年検定マニア」に加えて「投稿マニア」を自認・・・。