・・・・・・・・・・・・・河辺啓二のテレビ論(8)
東大医学部の同窓会は「鉄門倶楽部(てつもんくらぶ)」という。現役の学生の担当者たちが、定期的に機関紙を発行したり、2年ごとに同窓会名簿を作成したりしている。中でも最大イベントが年1回行われる「鉄門旅行」。しかし、15歳も年食って理Ⅲに入った私に他の若者ほどの鉄門行事に参加する意欲もなく、今まで(一応、毎年機関紙で旅行案内はある)一度も参加したことがない。群馬が旅行先になることが7、8年ごとにあるようで、以前にも直接メールでご案内を頂くこともあった。今回も担当学生からメールが届いた。今回は、観光先に世界遺産になった富岡製糸場があること(一度も訪れたことない)、そして最近親しくなった群馬在住の大先輩からのお誘いがあったことなどから、初参加することとしたのである。
大きな旅館で、大御所の大先生方や先輩・同期・後輩の医師や若い学生ら多くの参加者(学生が多いのには驚いた)で大宴会があり、その後二次会が行われた。その二次会で撮った写真が標記のものだ。たまたま空いていた席に座ると、なんと隣には今や東大医学部一の有名人の水上颯君がいたのだ。その日もTV収録後駆けつけて来てくれたようだ。
彼の異次元の天才ぶりは、以前の「頭脳王」連覇、そして最近の「東大王」での活躍で熟知していたが、大学のクラス内ではどんな感じなのだろうな(浮いていないかしら)と思っていた。ところが、同年代のクラスメートたちとフツーに楽しく談笑する姿を見るとフツーの大学生、若者に見えたものだ。父親以上くらい年上のオッサンの私とも歓談してくれた。不思議に思ったのは、彼ほどの天才でも「医師国家試験の勉強が大変」とこぼしていたことだ。私から「一度見ただけで覚えてしまうんでしょ」「医師国家試験くらい3日勉強するので受かっちゃうんじゃないの」と投げかけても即座に否定されてしまった。水上颯君は実に謙虚な好青年であった。