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「超資源大国」アメリカは「超肥満大国」でもある

2019.09.01

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・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(29)
〔超弩級肥満がたくさん〕
13年前にカリフォルニアを訪れた際にはそんなに感じなかったが、今回、多くの客でごった返すフロリダディズニー内を歩き回って最も驚いたのはアメリカ人の肥満のひどさだ。欧州で見かけた肥満の比ではない。
男性のリンゴ型肥満はもちろん、女性の洋ナシ型肥満の巨大さには舌を巻いてしまった。女性でいうと、幼児期~少女期の年齢では、細くて長い脚でイメージどおりの白人(我々日本人が抱く白人コンプレックス?)像なのだが、中年となるとその面影は微塵もなくなっている。わかりやすく言えば、東京ディズニーランドのショーで見るような(フロリダディズニーも同様)すらりとした白人ダンサーの体形の成人女性はあまりお目にかかれない印象だ。白人だけではない。多くの有名アスリートのイメージからか、黒人は細くて肥満は少ない先入観があったが、とんでもなく太った黒人男女も多く、人種は全く関係ないようだ(アジア系らしい超肥満人はあまり見かけなかったかな)。
日本では身障者が乗るような小型電動車に乗る肥満健常者を幾人も見かけた。多数の電動車がパークの入口に1日70ドルで貸し出しされていた。確かにあの広いパーク内を巨体で歩き回る(1万歩~2万歩)のはキツイに違いなく、1日8000円くらい払っても・・・ということなのだろう。
(ちなみに、tattoo刺青を入れている人が多いのが印象的だ。中でも漢字が目立った。何年か前に、フランスで「魚」などわけのわからない刺青を入れている若者が幾人もいて笑ってしまったが、今回も「傑作」がいた。大きく「殺伐」と背中にある人を2人も見かけた。その意味を認識してはいないだろうなぁ。)
〔アメリカを蝕む肥満という病〕
アメリカ在住が長い日本人の方の話では、アメリカ政府は肥満対策を講じているらしいが何の成果もないように思える。世界一の医療先進国なのだが、甘いコーラを飲み、糖質たっぷりのポテトチップスを食べながら横になって運動しないfatty米国人のイメージがぬぐい切れない。こんな身体では、生活習慣病でかなり短命ではないかと思われるが、意外に平均寿命は78.5歳くらいでそれほど短くない、高い医療水準によるものか・・・。
ある情報では、アメリカの学校には、コーラだかポテトチップスだか、無料で生徒に供給する機械が置いてあるところがあるという。こういうものが肥満を助長し、アメリカ人の健康を蝕んでいるという社会的批判を懐柔するUSA大企業の戦略ではなかろうか。
〔日米で肥満の基準が異なる〕
 私たち医療者が、患者さんの太りすぎが痩せすぎかの目安にするのは、一般的にBMI (Body Mass Index)を用いる。体重(kg)を身長(m)の2乗で割る計算式だ。BMIの計算式は世界共通であるが、肥満の判定基準は国により異なる。世界保健機関(WHO)や米国国立衛生研究所(NIH)などでは、BMI:25以上を「過体重 (overweight)」、30以上を「肥満 (obese)」としている。概ね多くの主要国ではこの基準を採用しているらしい。

●世界保健機関(WHO)の基準
状態    指標
痩せすぎ 16.00未満
痩せ    16.00以上、16.99以下
痩せぎみ 17.00以上、18.49以下
普通体重 18.50以上、24.99以下
前肥満    25.00以上、29.99以下
肥満(1度)30.00以上、34.99以下
肥満(2度)35.00以上、39.99以下
肥満(3度)40.00以上

しかし、日本肥満学会では、BMI:22の場合を標準体重としており、25以上の場合を肥満、18.5未満である場合を低体重としている。
●日本肥満学会の肥満基準(2011年)
    状態    指標
    低体重(痩せ型)18.5未満
    普通体重  18.5以上、25未満
    肥満(1度)25以上、30未満
    肥満(2度)30以上、35未満
    肥満(3度)35以上、40未満
    肥満(4度)40以上

要するに、アメリカと日本とでは医学上の肥満の基準が大幅に異なる。BMI27(例えば身長170㎝、体重78kg)は、日本では文句なしで肥満に該当し、アメリカでは「前肥満」(肥満予備軍か)という範疇で肥満には該当しないことになる。ただ、私が今回目の当たりにした多くの重量級の方々は、殆どBMI30は軽く超えていたに違いない。ネットでも次のような興味深い記事が掲載されていた。

「増え続ける米国人の体重、BMI平均30の肥満目前
2018.12.21 Fri posted at 15:35 JST」
https://www.cnn.co.jp/fringe/35130502.html

〔超資源大国だから超肥満大国なのか〕
 別に「アメリカファースト」を支持する気は更更ないが、アメリカは資源大国であることは間違いない。アメリカ人に「省エネ」なんて意識も概念もないのだろう。日本語の「勿体無い」をぴったり英訳できる英単語、英熟語がないのも頷ける。室内の冷房温度はなんと15℃に設定されているから、猛暑の室外から建物内に入る際には手持ちの上着を羽織らないと風邪ひきそうで怖い。「水は貴重」と水道水の無駄遣いを注意する欧州と違って、どちらかというと「水は使い放題」の印象だ。トイレのペーパータオルも使い放題、ペーパー供給器械の下のごみ箱の大量の使用済みペーパーが目に付く。
このように「節約精神」がないから、体内に入れるものも節約しない=歯止めがきかない→体内蓄積が大量になってもどんどん体内に供給→皮下脂肪・内臓脂肪増加で肥満となる、という循環が成り立つのではなかろうか。