・・・・・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の医療論(25)
毎日の診療で「腰痛」はしょっちゅう出くわす。整形外科は標榜していないのだが、内科疾患のついでにという患者さん、時には「腰痛」主訴の患者さんもいらっしゃる。後者の場合、近くに整形外科がないので、近くの当院に来たというケースだ。
万が一腰椎に腫瘍でもあったら大事なのでレントゲン検査はするが、まず重い疾患はない。だいたい、寝方の指導(仰向きはやめて横向きに寝るなど)や消炎剤湿布、鎮痛剤内服薬で治っていく。
自分自身、腰痛という経験はめったになかった。たまに起床時歯を磨いてうがいして腰を曲げるとき痛いことはあった。しかし、その朝のみで症状は消えてしまう。
ところが、今回、人生初めての「まともな腰痛」に嘖まれる羽目となった。腰を曲げると痛い症状が何日も続く。湿布では短期的な軽度改善のみ。
そんなときにちょうど定期的な人間ドックがあった。CT検査では、以前からある腰椎の曲がりがある程度でシリアスな疾患はない模様。最後に、診察してもらった医師から東大病院22世紀医療センターの「これだけ体操」のことを教わる。
自宅に帰ってさっそくネットでこの「これだけ体操」を学習して実行してみた。確かに効果がありそうだ。とにかくどこでもいつでも簡単にできるのがいい。(この体操でもそうだが、膝の裏を伸ばす運動は腰痛にいいというのも、何かのテレビ番組で紹介されていた。)
病気を治すといえば、すぐ薬剤に頼るのが、一般人のみならず我々医療者の悪い習癖だろう。健康度を高めるには.食事・睡眠・運動(体操を含む)が重要だとつくづく思う。中学・高校では、受験科目の英語や数学の陰に隠れて存在感の薄かった保健体育や家庭科(食事・栄養のことを学ぶ)が実は重要な科目だったのだと今になって思うことよ。
〔「これだけ体操」は東大病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座のウェブサイトで動画も含めわかりやすく紹介されている〕
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腰痛対策―「これだけ体操」のすすめ
2018.07.22