・・・・・・・・・・・・・河辺啓二のTVドラマ論(9)
毎年、8月は、いわゆる「戦争モノ」のTVドラマや映画を観てしまう。今年、観たものでは、映画1本、TVドラマ2本が印象に残る。
まず、映画だが、『日本のいちばん長い日』は、日本人として観なくてはならないという義務感もあって観賞した。かなり史実に沿っていたと思うが、映画というエンターテインメント性からいえば、『永遠の0(ゼロ)』ほどの面白さはなかった。ネットで「字幕があるとよかった」という意見があったが、確かに現代日本語であまり使われない言葉が多々ある上に、激高して大声で話すシーンが多く、聞き取り・意味把握困難なことがあったのが残念。『永遠の0(ゼロ)』のような戦闘シーンもないのも、少し寂しい感が・・・。まぁ、かつて「ナイナイナイ~」と歌っていたイケメン・モックンが昭和天皇役を上手に演じていたのはよかったが。
TVドラマでは、二夜連続で放映された「レッドクロス~女たちの赤紙~」(TBS)は、なかなかよかったと思う。松嶋菜々子演じる主人公が、第二次世界大戦中に戦場に赴いた従軍看護婦の女性で満州事変から朝鮮戦争までの間の彼女の生き様を中心に描かれていた。印象的だったのは、軍医役の笑福亭鶴瓶だ。鶴瓶らしさを保ちながら名演していた。ドラマでは、日本人も中国人も、いい人もいれば悪い人もいるということが表現されていたと思う。
もう一つは、『妻と飛んだ特攻兵』(テレビ朝日)である。昭和20年8月15日の玉音放送から4日後、8月19日の満州で、特攻隊員である夫と共に、戦闘機に乗って飛び立った妻(堀北真希)がいた。なぜ、終戦の4日後に特攻作戦が敢行されたのか。なぜ夫婦で特攻機に乗り込んだのか、を描いている。こんな事実があったとは驚きである。
楽しめたこの2つのTVドラマの共通点は、8月15日の終戦の後に悲劇があったことだ。許されないのは、日ソ中立条約を一方的に破棄して攻め込んできた、当時のソ連の、日本人に対する非道卑劣な行為だ。特に、シベリアに抑留されて亡くなった何万人もの日本人及びその家族の無念さは計り知れない。ソ連→ロシアにこんなにもひどいことをされても、謝罪も賠償も要求しない、バカがつくほど「超お人良し」の日本。戦後70年経っても反日・抗日を国家の是としている中国・韓国との違いやいかに。