・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の音楽論(6)
延頚挙踵だったポール・マッカートニーの来日コンサート(Out There! japan tour)に行ってきた。前回の2002年来日(Driving japan tour)から11年、齢(よわい)71ということに鑑みれば、もうナマPaulを見られるのもこれが最後と思う人が多いためか、チケットを得る苦労は、前回よりはるかに大きかった。前回(2002年)も前々回(1993年THE NEW WORLD TOUR)のときも、東京ドームで計3回行われ、どちらも1回観に行ったものだが、今回は2回観た。そのうちの来日公演最終日は、幸運にもアリーナ席だった。
同コンサートで、私が観たのは、以下のとおりで、2回とも全く同じセットリストであった。(私の観ていない)他の日に、「Jet」や「I Saw Her Standing There」が演奏されたそうで、それらが聞けなかったのがちょっと残念。
① Eight Days A Week
② Save us〔新作アルバム「NEW」より〕
③ All My Loving
④ Listen To What The Man Said
⑤ Let Me Roll It/Foxy Lady (instrumental)
⑥ Paperback Writer
⑦ My Valentine
⑧ 1985
⑨ The Long And Winding Road
⑩ Maybe I'm Amazed
⑪ I've Just Seen A Face
⑫ We Can Work It Out
⑬ Another Day
⑭ And I Love Her
⑮ Blackbird
⑯ Here Today
⑰ NEW〔新作アルバム「NEW」より〕
⑱ Queenie Eye〔新作アルバム「NEW」より〕
⑲ Lady Madonna
⑳ All Together Now
21 Lovely Rita
22 Everybody Out There〔新作アルバム「NEW」より〕
23 Eleanor Rigby
24 Being for the Benefit of Mr. Kite!
25 Something
26 Ob-La-Di, Ob-La-Da
27 Band on the Run
28 Back in the U.S.S.R.
2 9Let It Be
30 Live And Let Die
31 Hey Jude
アンコール1回目
32 Day Tripper
33 Hi, Hi, Hi
34 Get Back
アンコール2回目:
35 Yesterday
36 Helter Skelter
37 Golden Slumbers / Carry That Weight / The End
全37曲、最後のメドレーを3曲とカウントするとなんと39曲も歌ってくれた!
午後7時過ぎから10時前後まで、2時間40分くらい、熱唱、熱演奏をしてくれたのである。(来年2014年2、3月に予定されている、8年ぶりのローリングストーンズの来日コンサート。こちらも楽しみだが、ストーンズのコンサートは約20曲しか演奏してくれない。1曲当たりの時間がビートルズやポールの曲より長めということもあり、コンサートの時間は、2時間近くはありそうだが、曲数だけでいうとポールの約半分というのがチト寂しい。)
最も古いのが1963年の「All My Loving」、最も新しいのが今年2013年リリースの新作「NEW」の4曲。すなわち50年、半世紀の幅もある。誰でも知っている大ヒット曲、名曲の数々、美しいバラードからハードロックまで、まさにポール・マッカートニーの真骨頂である。
このコンサートがすごいのは、ポール及びビートルズのヒット曲全集ではないことだ。ビートルズ時代の№1ヒット曲(英米どちらかのヒットチャート1位曲。以下同じ)でポールが主体で作ったもので今回演奏されなかったものとして
●Can't Buy Me Love
●Penny Lane
●Hello, Good Bye
と3曲もある。(ほかにYellow Submarine があるが、これは作曲はポールでもボーカルはリンゴなので除く)
また、ビートルズ解散後のソロ時代(ウィングス時代も含む)でも、№1ヒット曲を量産したポールだが、そのうち今回演奏しなかったものとして
●Uncle Albert/Admiral Halsey(アンクル・アルバート~ハルセイ提督)
●My Love(マイ・ラヴ)
●Silly Love Songs(心のラヴ・ソング)
●Mull of Kintyre(夢の旅人)
●With a Little Luck(しあわせの予感)
●Coming Up(カミング・アップ)
●Pipes of Peace(パイプス・オブ・ピース)
◎Ebony and Ivory(エボニー・アンド・アイボニー)
←スティービー・ワンダーとの共演作品だが、作曲はポール
◎Say Say Say
←マイケル・ジャクソンとの共演作品。作曲もマイケルとの共作となっている。
最後の共演作2つを含めてなんと11曲もある№1ヒット曲から歌ってくれたのは、
Band on the RunとListen To What The Man Said(あの娘におせっかい)
の2曲だけだったのである。
要するにビートルズ時代のものも含めると、10曲以上もの№1ヒット曲を歌わないで済ませてしまったのだ。こんなミュージシャン、ほかにいるだろうか?
これまで№1ヒット曲に限定して述べたが、そうでない曲にも言及すると際限なくなる。ビートルズ時代でポールの作品とされるもので、有名だけど今回演奏されなかったものとして思い浮かぶのは、
○ミッシェル
○ドライヴ・マイ・カー
○ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア
○ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ
○サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
○マジカル・ミステリー・ツアー
○フール・オン・ザ・ヒル
○オー・ダーリン
などが挙げられる。
ソロ時代だと、以下の曲がヒット曲でありながら演奏されなかった。
○メアリーの子羊
○C・ムーン
○愛しのヘレン
○ジュニアズ・ファーム(他国では演奏。「NEW」の曲が入ったためはずされたようだ)
○幸せのノック
○グッドナイト・トゥナイト
○ワンダフル・クリスマスタイム
○ウォーターフォールズ