・・・・・・・・・・・・・河辺啓二のTVドラマ評(4)
今年1月からNHKBSプレミアムで毎週日曜の朝、あの「おしん」が再放送されている。1回につき6回分すなわち1週間分が放映される。
今からすると信じられないほどの高視聴率を叩き出した、まさに国民的ドラマといえよう。昭和58年の作品だが、当時海外でも好評を博したらしい。現に子供のとき「おしん」を観て日本に興味を抱き、来日している外国人もいるようだ。
なぜこの再放送をみることとしたか。私はリアルタイムでこのドラマを観たことがない。昭和58年といえば、忙しい官僚時代まっただ中であり、とても連続ドラマなど観る余裕はなかった。覚えているのは、当時在籍した課の中で、昼休みに放映の時間になると、「おしんちゃんが始まるよ~」と同日の再放送(当時も12時45分からだったか)を観るノンキャリアのおじさんたちのことだ。当時20歳代の私は、そんな人気ドラマに興味はなく、昼休みも忙しく仕事をしていた。
いま、30年を経てBSプレミアムで再放送があると知り、あれだけ話題になり、社会現象まで起こした番組だし、日曜の午前なら(観る)時間もありそうだと、1月の初回から観始めた次第である。
山形の極貧の小作に生まれながら、自らの才能と努力で成長し、居住地も職業も変わりつつ活躍していく「おしん」に眼が離せなくなった。意外だったのが、これで一躍有名になった小林綾子が演じる少女時代の期間が短かったことだ。私のイメージでは、田中裕子より小林綾子=「おしん」だったのだが・・・。そういえば、韓流時代劇の「チャングム」も「イ・サン」も「トンイ」も、子役の演じる主人公の幼少時代は短かったしなぁ・・・。
やはり小林綾子演ずる少女時代の不憫さには思わず涙を誘うものがあった。米はもちろん麦飯より貧しい「大根めし」が何度も登場した。私も、四国の山奥の豊かでない農家で育ったが、幼少時代、100%お米のご飯は何だかのお祝いのときだけで、通常は麦と米が混ざった飯を食べていたことを覚えている。少し長じて小学生か中学生の頃になるとほとんど麦が消えて米飯を食べるようになったが、おかずは「すり大根」のことが多かった。大根を摺ったものに醤油をかけこれをご飯の上にかけて食べる。「おしん」の「大根めし」がどんなものかわからないが、こちらの「すり大根めし」は結構うまかった。今でもときどき食べたくなる。