・・・・・・・・・・・・・河辺啓二のTVドラマ評(3)
ドラマも、スポーツ観戦も、バラエティー番組も、見始めると、ついつい観てしまうのがテレビ。もちろん、中には途中でつまらなく感じてしまうものも多いが・・・。仕事も忙しく、検定の勉強もしなくてはならない私は、ニュースや報道番組などなるべく限定して観るように努めているが、週に二つくらいは、まぁいいかなとこれら情報番組以外のものを観ている。
最近観たテレビ番組でおもしろかったのは、もう終了してしまったフジテレビ「カラマーゾフの兄弟」。ロシアの文豪の名作を日本版に見事に改変されていた。
今かかさず観るのは、日テレ「雲の階段」だ。あの渡辺淳一が原作。過疎の離島の診療所に勤める高卒の事務員が、天性の手先の器用のよさから、診療所所長の手伝いをしているうちに、上手に手術等医療行為ができるようになってしまうというものだ。やがて、無資格医であることを伏せたまま、東京の大病院の副院長まで昇って行く。
あのオバケ的視聴率をたたき出した「家政婦のミタ」の父親役・長谷川博己が、そのニセ医者を演じる。大友康平演じる診療所所長に、医師国家試験に出題されそうな医学的質問を訊かれ、すらすらと答えていくシーンがあった。技術だけでなく、医学的知識も勉強してしっかり身についているという設定だ。
確かに、医学知識は、教科書を読んで頭にたたみ込めば、誰でも身につくと思う。数学や物理学の難しい数式や論理を理解する能力も、英語やドイツ語の知識も、ほとんど要らない。医学部に行かなくても、「家庭の医学事典」をマスターすれば、手術のない内科系町医者(つまり私レベル)くらいにはなれるのではないか。いつだったか、ニセ医者が多数の健診を捌いていて発覚した事件が報じられていたが、健診くらい可能だということだろう。実際、このニセ医者が診た患者で不都合の生じた例はなかったらしい。
さて、このドラマだが、医学的知識のみならず、手術という技術までも、島の診療所所長に、わずか数年間鍛えられたくらいで、こんなにも習得できるものかなぁと感じる。島に赴任して来た本物の医師より上手に手術してしまうのだ。そもそも、外科医は10年くらい修行して(多くの手術を経験して)一人前になると聞くが・・・。まぁ、フィクションだから、おもしろければいいのだろう・・・。