・・・・・・河辺啓二の社会論(12)
現在、隣国の中国や韓国との軋轢がひどくなっているが、非常に遺憾に思う。領土問題は、古今東西、起きているものだが、近年のように、日中、日韓の間の経済的相互依存が高まっているときだけに、お互いにマイナスとなる国家間の外交衝突は残念だ。
私には、家族ぐるみで付き合っている友人が中国にも韓国にもいる。流暢に日本語を操るこの友人たちは、私の子供たちも大好きで、礼儀正しくとてもいい人たちである。現在のような国家間の対立には関心が低く、私も話題にしないことにしている。
友人以外にも、(メディアで報じられる一部の反日の人たちと異なり)心根の優しい一般庶民が多いのではないかと思う。
何年も前になるが、韓国のソウルにその友人の案内で観光したときのことである。私の家族の乗る大型車の運転手は、運転免許のない友人に依頼された、日本語の話せない中年男性だった。ある観光地で、当時まだ幼かった子らが、わがままで綿飴を買って食べたりして予定の出発がだいぶ遅れていた。しかし、彼は運転席から、その細い眼を更に細くして笑顔で子供たちを見守って待ってくれていた。なんて優しい顔なのだろうと私は思った。小さい幼子を可愛いと感じるのはどこの国の人も同じなのだと感じたものだ。
陸続きで他国と国境を接し、国境問題で経験豊富な中国や韓国と違って、四方を海で囲まれ、国境問題の意識が乏しかった日本がつけ込まれている現状は、地政学的にみても当然なのかもしれない。私たち一般庶民は、政治に巻き込まれずに隣国人と仲良く付き合っていきたいものだ。