・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(19)
原発再稼働に関して多くの国民は否定的、そして「脱原発」を望んでいる。長期的視点に立った、未来の我が国子孫の健康を考えれば当然のことだろう。しかし、我が国経済や産業界の思惑、そして政治家の利権が絡み、福島原発事故が完全収束もしていないのに原発再稼働へ蠢動しているかの様相だ。
原発立地地域は原発に経済を握られており、簡単に脱原発を唱えられない。産業の乏しい地域で多くの税収が望めない地方公共団体にとって原発交付金は有り難い収入源であり、雇用機会の少ない住民にとって原発関連産業による雇用は大きい。確かに日本全体の将来を考えれば、一般市民感情では脱原発だが、自分たちの生活の基盤が消失してしまうとすれば抵抗せざるを得ないだろう。
そこで、政府は、原発代替産業を当該地に起こすべき、税制、金融、助成などの総合的・効果的施策を講じるよう最大限の努力をしてほしい。原発立地地域は、もともとは農漁村で農林水産業くらいしか産業のなかった地域だ。農林水産業の再振興、これに観光業も組み合わせる。例えば原発を廃炉にした石棺を観光の対象としてもよいではないか。脱原発した地域にふさわしく再生可能な代替エネルギー産業を興すことはできないか。関係各省庁と当該県・市町村が一体となって知恵を絞ってほしい。こういうことに私たち一般国民の血税が使われるとしても、納得が得られるのではないか。原発に長年依存してきた地方公共団体・地域住民に原発と袂を分かつためのインセンティブが必要なのだ。
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上記の投稿文を朝日新聞「声」に送ったところ、採用となり、少し修正され、5月25日に掲載された。同「声」には今年3度目の掲載。しかも今回は最も右上の箇所に載せてもらった。AKB風にいえば「センター」という位置かな(笑)。