2012.04.20
・・・・・・河辺啓二の社会論(10)
昨年四月に栃木県鹿沼市で小学生六人がてんかん発作した運転手のクレーン車にはねられ死亡するという悲惨な記憶がまだ冷めぬうちに、又しても(因果関係が確定していないが)てんかん発作が原因と疑われる惨事が京都祇園で起きてしまった。
現状では医師が判断すればてんかん患者の免許取得が可能となっているが、持病の不申告に罰則はなく、運転者の良心に任されている。以前から規制強化を求める動きがある一方、規制が差別に拍車をかけ持病を隠す悪循環も指摘されているところであった。
差別か人命優先かと考えれば後者を選ばざるを得ないだろう。このような悲惨な事故を今後起こさないために、(まだ病気とわからず病院にかからない患者まで規制することは不可能だが)せめててんかんで通院中の患者は主治医の監視下にあり、主治医から担当の警察に定期的に診療情報提供する仕組みができないだろうか。今回の事件でも主治医は「運転は不適」と認識していても、本人に忠告することまでしかできなかった。警察がこのことを把握し、運転免許を剥奪していれば、今回のような大惨事は起きなかっただろう。
猟銃所持等については三年ごとに医師の診断書提出が義務づけられているのに、「走る凶器」の自動車の運転免許については、五年に一度の、視力検査くらいしかない極めて緩い運転免許更新しか行われておらず、このようなコントロール不良の神経疾患の患者は見逃されてしまっている。