・・・・・・・・河辺啓二の医療論(13)
「政府は少子化対策に本腰を」(9日)に強く共感する。国立社会保障・人口問題研究所の、悲観的とも思える推計人口に対して、根本的な人口増加策を強く唱える政治家やメディアを多く見受けられないのが残念だ。まるで「少子高齢化はしかたない」と誰もが思っているかのようだ。政府は「少子化担当大臣」と称して何代も担当相を充ててはいるが、その効果には疑問符を感じざるを得ない。
少子高齢化社会に対応する仕組みを構築することより、少子化社会にならないように政府・国民が一丸となって検討・協力していくことのほうが適当ではないか。
働くお母さんのための保育施設の充実が不可欠だが、出産環境を改善していくことも同様に重要である。
例えば、出産育児一時金制度など、健康保険制度からの助成が充実されつつあるが、まだまだ拡充の余地は大きい。また、激務の産婦人科を希望する医学生が今以上に減少しないように、出産事故への救済策を拡充するとともに産婦人科医に対する各種優遇策を講じるべきだ。更には、少子化の一因でもある晩婚化傾向に歯止めをかけなければならない。
外国人の日本定住促進、あるいはフランスのような婚外子の受容など、人口増加のためにはいくつか策はあるが、これらはいまだ日本人のメンタリティーには馴染みにくいものだろう。やはり、日本人の夫婦が安心して2、3人以上の子供がつくれるような社会になってほしい。
-----------------------------------------------------------
上記の投稿を、朝日新聞「声」に投稿したところ、採用され、修正の上、2月19日に掲載となった。今年初の投稿掲載である。私が特に強調したいのは、「少子高齢化社会に対応する仕組みを構築することより、少子化社会にならないように政府・国民が一丸となって検討・協力していくことのほうが適当ではないか。」というところですね。