2012.02.17
・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(16)
経済産業省原子力安全・保安院は、関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働の前提となるストレステスト(耐性検査)の評価を「妥当」とする審査案を専門家の意見聴取会に報告した。このとき、経産省は、「脱原発」を訴える市民団体の人たちを傍聴させないという強硬な姿勢を示した。
あとわずかで改組されてなくなる予定の原子力安全・保安院だが、同院は、このような傲慢な態度をとれる資格があるのだろうか。悲しいことに、ほとんどの国民は、国民の健康・安全より電力業界・経済界を大事にするこの国家組織を信用してはいない。保安院は、国民に対し「傍聴は許されない」などと傲慢な態度をとれるほど信頼される地位にあるのだろうか。
意見聴取会の委員の中には、「御用学者」でなく、当該審査案に批判的な人もいた。官僚たちの常套手段である、「御用学者」ばかりの審議会でお墨付きを頂こうという思惑が見事に外れた形である。しかし、それら良識ある意見はうやむやにされそうになっている。聴取会の一部委員から審査案の修正が求められるも、大飯原発の評価の妥当性は変更しないというのが保安院の方針らしい。何のための意見聴取会だったのか。まったくの噴飯ものである。産業界ばかり見て国民を見ない経産省は、あのような福島第一原発に係る大失政をしても、何の反省もなく態度を変えないのだと感じざるを得ない。