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「喫煙ゼロ社会」を目指そう

2011.09.18

・・・・・・・・・河辺啓二の社会論(8)
厚生労働省が、労働安全衛生法を改正し、職場の受動喫煙対策を強化するため、一般の事業所や工場では全面禁煙か、一定の条件を満たす喫煙室以外での喫煙を認めない「空間分煙」を事業者に義務付ける方針を固めた。これまでの健康増進法による原則全面禁煙の努力規定から進んだ内容となっている。  
また、小宮山新厚生労働大臣が記者会見で、たばこ税を増税し、1箱あたり700円程度とすべきだとの考えを表明した。
喫煙が、放射線同様、人体の健康に悪影響を及ぼすことは明白だ。東京電力福島第一原発事故による放射能汚染がいまだ継続中であり、ただでさえ私たち国民を取り巻く「健康環境」は震災以前より悪くなっている。このことに鑑みれば、私たちの健康に有害なものの筆頭格であるタバコは、ゼロ(又は最小化)を目指すべきで、今回の労安法改正は誠に喜ばしい。新厚労相発言は政府方針でなく「個人的見解」とされているが、私たち医師は大歓迎である。実際、診察中にスモーカーの患者さんに禁煙を勧めても「値段が高くなったら(煙草を)やめる」と言われることが非常に多いからである。
原発同様、タバコ関連産業に携わる人たちの生活や雇用を考えれば、直ちにゼロとすることは不可能だが、政府は、徐々に「喫煙ゼロ社会」にソフトランディングできるような経済的、社会的環境を整備してほしい。
喫煙による発がんや動脈硬化疾患(脳卒中や心臓病)のリスクに鑑みれば、禁煙による医療費減はたばこ税収減をはるかに凌駕するに違いない。