2011.09.08
・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(12)
民主党が政権を取ったとき、私たち国民の期待は大きかった。既存利権にどっぷり浸かり官僚主導で国民生活を顧みない長年の自民党政治にうんざりしていた国民は、狂喜して政権交代を歓迎した。そして、他国では珍しくない理工系出身の政治リーダーへの期待感は膨らんだ。これまで文系出身の宰相ばかり輩出してきた自民党との違いが斬新的にも感じたものだ。
しかし、二代続いた理系首相は、あまりにふがいないリーダーシップを発揮して去って行った。思いつきで発言したり、発言内容がぶれたりして、理路整然さが求められる理系学問を修得してきたはずのお二人は、その理路不整然たる言動が墓穴を掘り失政を招いたと言っても過言ではないだろう。
今回の首相は、早稲田大学政経学部→松下政経塾と歩んできた典型的な文系人間で、民主党初の文系首相である。今のところ、財務官僚の影響下にあるのではないかなど一部批判はあるものの、前任二人のような軽率さ、不安定さがなく、地味ながらも強かさが認められる。
首相が華々しく高支持率でデビューするも翌年には国民にボロボロに酷評され退陣することが、自民党政権末期から何回も繰り返され、海外からは「回転ドア」などと揶揄されバカにされ続けてきた。私たち国民も忸怩たるものがある。ここらでこのような日本政治の悪風物詩を断ち切ってほしい。