・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(10)
極東の国・日本で起きた、言わば「対岸の火事」を自国のこととして脱原発の方針を固めたドイツ、スイス、更にイタリアなど欧州の国の姿勢を羨望の眼で見るのは私だけではないであろう。
ひるがえって、世界で唯一の被爆国である我が国の姿勢は何だろう。未曾有の長期間にわたる放射能汚染を起こし続けながら、依然として「原発全廃」の方針が打ち出さない政府、そして政策よりも政争に精力を注ぐ「三流」の政治家たちに私たち国民は苛立っている。イタリアのような国民投票への気運も感じられない。
政府や既存の政党が、産業界に気をつかって「脱原発」を明言できない。(政・官・業・学が癒着した「原子力ムラ」がいまだ暗躍しているのだろう。)今のところ「脱原発」を旗幟鮮明にしているのは共産党と社民党という、国会議員の少ない弱小政党のみであり、ほかの政党の原発方針がいまひとつはっきりしない。日本には、ドイツの「緑の党」のような、反原発を掲げる有力な政党が存在しない。
この際、反原発の政治家が結集して新政党、その名も「反原発」党又は「脱原発」党でも結成したらどうだろうか。国民の圧倒的な支持を得るに違いない。もちろん、現在のエネルギー情勢に鑑みれば、一、二年で全原発をなくすことは不可能だから、十年~二十年のスパンで、最終的には日本国内の全原発がなくなるようにすることを使命とし、使命が達成されれば解散する時限政党となってもよいではないか。
なお、原発がなくなるというのは、稼働停止するだけでなく、廃炉になり、以後長期にわたり放射能漏れが完璧に抑えるように監視されることを意味する。