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信頼される後発医薬品の普及には企業統合を

2011.03.07

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・・・・・・・・河辺啓二の医療論(9)


〈後発医薬品は先発医薬品と異なる〉

2月19日付け朝日新聞「私の視点」に『後発医薬品 先発品と「同一」望ましい』と題して非常に優れた投稿が掲載されていた。私は、この意見を強く支持する。

厚生労働省は、実際は「同一」でないのに「先発品と同効果で価格は安い」と国民に喧伝し、医療側に対しては診療報酬の加算点変動で後発品処方増への誘導を行う。健康保険組合は、組合員に後発医薬品(ジェネリック)推奨カードの配布に加え、「あなたが服用している○○(先発品)を△△(後発品)に変えれば、一月当たりの負担金は●●円安くなります」という通知までしているのには驚く。健保組合の事務量、コストを増大させても後発品を普及したいのだろう。

(厚生労働省と健康保険組合と後発医薬品メーカーが、「先発品と全く同じ効果で価格ははるかに安い」と喧伝していたが、主成分以外の添加物や製造工程等が異なるため、実際は効果が異なることを認めたのか、さすがに最近は「同じ効果」と言わなくなったようだ。) 

私も、いまだ、後発医薬品の処方には二の足を踏む医師の一人だ。実際に処方して、先発品と全く変わらない場合もあるが、「利きが悪い」「副作用が出た」という患者さんに出くわすことも少なくない。その際、次回からはその薬剤は他の患者さんにも処方するまいと思ってしまうものだ。


〈真の「同一」後発品の製造販売の実現へ〉

「私の視点」で主張されているとおり、真の「同一」後発品が製造販売されることが望ましいと思う。そのためには、現在後発医薬品を供給しているのは小資本の製薬会社が多く、良質の製品を安定的に供給できる会社の数も少ない(後発品メーカーの都合で製造中止になることが少なからずある)という現状を踏まえ、医療政策として、企業の合併統合を進めていく必要があるのではないだろうか。
多数ある小企業の後発品メーカーが合併統合することにより、充実した製造設備を有し、多くの医療情報提供者を配置できる大きな企業となれば、われわれ医師側も、安心して、もっと後発品の処方に積極的になれるのではないだろうか。


〈日本はドイツのようになっていいのか〉

ドイツのように医療費抑制策が強化されたために、製薬会社がほとんど後発品メーカーになる国家はいかがなものか。世界の製薬会社のランキングを見るに、米国、英国、スイス、フランスなどに比べ、医療先進国であるドイツのメーカーは、意外に少なく、やっとベーリンガー・インゲルハイム社がやっと15位あたり(日本のトップ武田薬品と同レベル)に入っているくらいだ。

国土や天然資源に乏しい日本の今後の経済を考えるに、得意とするナノテクノロジーなど頭脳集約型産業の中で医薬品産業がその一角を担うのにふさわしい産業なのだが、今のような医療費削減策で後発品メーカー優遇策を進めればドイツの二の舞になるだろう。