・・・・・・・・河辺啓二の政治・行政論(7)
いまや我が国の経済は、中国経済に大きく依存している。2009年における日本の中国向けの輸出額は10兆円を超え、中国が初めてアメリカを上回り、日本最大の輸出相手国となった。更には、日本国内の観光地や電器店などが競って、富裕層を中心とした中国人観光客を呼び込んでいる。かつてジャパンアズナンバーワンと言われた頃、欧州等世界の国々で日本人観光客目当てに営業努力がなされていたが、今度は逆に日本人が他国人客集めに必死である。
しかし、我が国経済の停滞が続く中、内需拡大が望めないからといって、中国人需要にあまりにも依存していないだろうか。いつ激しい反日運動が起きて日本製品不買運動が起こるかわからないお国柄であるし、現在の共産党下の自由主義経済体制がこの先何十年間も続く保証はない。現在のような中国経済依存の経済から脱却して安定した内需の充実拡大策が強く求められる。
「こども手当」や「高速道路無料化」といった経済効果の不透明な施策より、社会保障政策の充実拡大のほうが時間はかかるが、確実に我が国経済を大きくするものだ。医療・介護・福祉施策が充実すれば、死ぬ人が減り、元気な老人が増え、消費が増えるだろう。中でも、少子化対策について、現政府の実績はいっこうに見当たらない。とにかく人が増えなければ、総体としての消費は増えないのだから経済は活性化しない。出生率2人以上を達成したフランスを参考とするなど、政府は強力な少子化対策を講じてほしい。
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〈危惧していたことが起きてしまった〉
上記の文章を新聞に投稿したが、2週間経っても連絡が来ないので(「当選」だと、担当者から電話かメールが来る)どうも今回は「落選」だったようだ。
投稿直後の頃からあの尖閣諸島漁船衝突事件が急速に大問題に増幅してきた。私が危惧したとおり、反日運動・・・日本製品不買運動の可能性が出てきた。というか、訪日客のキャンセルは、もう立派な、日本での観光というサービスの不買運動に該当するから、すでに不買運動は行われていると言っていいだろう。
それにしても、今回の検察と政府(政府は検察の判断とぬけぬけと言うが)の行ったことは、非常に後味悪い。厚労省村木局長問題で大失態を演じた検察が「政府のイヌ」に成り下がったのか。あの児島惟謙が天国で嘆いていることだろう。
〔児島惟謙とは、明治時代の大審院院長(今でいえば最高裁長官)。1991年、来日中のロシア皇太子(後のニコライ2世)が、滋賀県庁で昼食後、京都のホテルへの帰途中の大津(琵琶湖湖畔)を巡行中に、警備(護衛)の一巡査津田三蔵に人力車越しに頭部を切り付けられ、軽傷を負うという「大津事件」が起きた。児島惟謙は、ロシアの報復を恐れ犯人津田三蔵に大逆罪を適用して死刑を求める松方内閣の干渉をはねつけ、まさに「粛々と」国内法に基づき、一般人に対する謀殺未遂をそのまま適用し、死刑とせず、無期懲役としたことで、司法権の独立を守ったのである。〕
〈今回も中国式戦略に敗れたり〉
「外交に弱い菅直人」が露呈してしまった。最初から期待はしていなかったが、「外交に弱い日本国政府」の伝統は、民主党政権になっても生きていた。仮に、「小沢首相」だったらどうだったか・・・外交で「剛腕」ぶりって発揮できるのかなぁ。いっそのこと、中国を「不愉快」呼ばわりした、強気の石原慎太郎あたりが首相になって暴れてくれるとどうかなぁとも思ったりもする。
事実・真実を曲げて報道し、国民を洗脳するという中国政府は、多少なりともお隣の仲良し「ならず者国家・北朝鮮」を彷彿させる。確かに、広い国土と莫大な人口と多くの民族を抱える中国が国を一つにまとめるには、「愛国心」が最適で、それに「反日」を利用するのがもっとも容易で効率的であることはよくわかるが、いい迷惑だ。
このように、恫喝されては譲歩を繰り返していけば、いずれ、日本は中国の属国に陥ってしまうかもしれない。歴史の長さと人口の多さと国土の広さに鑑みればいたしかたないのか・・・。それにしても、「今後、日本に謝罪と賠償を求める」という中国政府の厚顔無恥さには開いた口がふさがらない。船長が逮捕されたときは、ネットに「日本に原爆落とせ!」なんていう書き込みがあったという。彼ら中国人は、あの孔子や孟子の末裔の国の人々ではないのか・・・。
中国は、日本にとって、石原慎太郎の言う「不愉快な国」になってしまったのか。昔、「アメリカがくしゃみをすれば、日本はカゼをひく」という言葉があったが、いまや、「中国を怒らせば、日本経済がカゼをひく」状態だ。「カゼ」ですめばよいが、「心筋梗塞」「悪性腫瘍」になりかねない状況だ。そうならないためにも、レアアース等の資源輸入先の多元化を進めて行かねばならない。
〈中国式戦略に敗れないためには〉
領土問題は、何も日中間だけでなく、中国の接する多くの東南アジア諸国も、同様に、中国に悩まされている。もともと中国の属国だったベトナムでさえも、中国ともめているらしい。いっそのこと、日本とこれらの国々とタッグを組んで国際世論を見方につけて中国に対抗できないものか。
また、まさに秦国の戦略「近攻遠親」を参考に、中国を飛ばして、やはり経済発展著しいインドとか、少し遠い国との経済的相互依存を高めるような手だてはないものか。上記投稿で述べたとおり、現在のような中国経済に大きく依存している状態は「累卵の危うき」に思えてしかたがない。
我が国は、天然資源でなく、人的資源で繁栄した国だ。最近著しい(国際比較での)学力低下は嘆かわしいばかりだ。科学オリンピックでも、中国や韓国の後塵に拝している(これに参加してメダルを獲得する優秀な日本人高校生もいるにはいるが)。そこのところは、中国を見習わなければならない。日本の若者よ、ゲームする時間があるなら、勉強してくれ!