さようなら川崎先生、そして渡部建
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の社会論(29)
〔カワサキディズィーズ〕
あの川崎病の川崎富作先生が逝去された。御年95歳。さすがにこの頃は「川崎病は川崎市から出てきた公害病」なんて思っている人はいないだろう。日本の高度経済成長期には、水俣病とか四日市ぜんそくとか地名の付いた公害事件が次々と発生し、「川崎病」も工場の多い神奈川県川崎市に由来する病気と勘違いされることもあった。「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(MCLS)」といって、主として乳幼児にみられる原因不明の急性熱性疾患で、主に皮膚、粘膜、リンパ節等が冒される疾患である。最近は、海外で新型コロナ感染後に川崎病に似た症例が出てきて話題になっている矢先の訃報であった。発見した人名を冠した病名は多数あるが、殆どが欧米人の名前。日本人の名が付いた病名は僅かでこの「カワサキディズィーズ(Kawasaki disease)」が最も世界的に有名な日本人名疾患だと言って過言ではないだろう。
私自身、開業後小児も診てきたが、この20年強で数人程度、川崎病患児を総合病院に紹介して入院治療してもらっている。
〔なんと川崎先生と肩を並べて〕
実は、私は川崎先生と肩を並べて受講したことがあるのだ。たしか、大学3年か4年か、本郷の専門課程に入った後「免疫学」の講義があった。最初の講義のときに「皆さんと一緒に講義を聴きに川崎富作先生がいらしています」と担当教官から紹介された。「お~、あの川崎先生だ」と学生たちは一様に驚いた。最新の免疫学を勉強するため、受講されるとのこと。当時で六十歳代後半。既に40歳くらいで川崎病を発見し世界中に知られ、まさに功成り名を遂げた大先生が二十数歳(私は除く)の医学生に混じって講義を受けるというのだ。その真摯さ、謙虚さには頭が下がる思いだ。その風貌は知的な好好爺という感じだった。私は「おじさん医学生」だったため、他の年寄り同級生と一緒に最前列の席に座るようにしていた。したがって、当然最前列に座られる川崎先生とは同じ並びの席だったのだ。「私は、あの川崎先生と肩を並べて勉強していたんだぞ~」というのが私の自慢(笑)。
〔渡部建は芸能界引退へ〕
全く話が変わる。アンジャッシュの勘違いコントは実におもしろかった。私の大好きなコントだ。実によくできていると新作を見る度に感心していた。しかしながら、今回の病的とも思えるような渡部建の不倫騒動を見るに、いくら才能があっても、かつての島田紳助のように芸能界から引退すべきだろうと思う。道徳観がなくてもおもしろければいい、というワケにもいかないだろう。彼の見事なトークとアンジャッシュの勘違いコントが見れなくなるのは寂しい気もするが、日本社会の秩序・道徳を維持するにはいたしかたない。
〔「美人税」は秀逸の作〕
佐々木希という美人女優は、4年ほど前のフジテレビ『世にも奇妙な物語』の中で初めて認識した。美人であるがために税金を払わせることになってしまう『美人税』という物語だ。コンビニで買い物をすると設置されたカメラで美人度を査定し税率が美人度によって変わるというものだ。実におもしろい「奇妙な物語」であった。