日本の世界文化遺産COMPLETE!

・・・・・・・・・・・・・河辺啓二の旅行(11)

〈世界遺産検定マイスターとして〉

 世界遺産検定マイスターとしてやり遂げたいこと、それは、自国の世界遺産くらいはすべて見ておきたいということである。

 現時点で認められている日本の世界遺産は、文化遺産20箇所、自然遺産5箇所だ。2022年4月末までで、文化遺産のほうは18箇所見学した。残念ながら、自然遺産は、2022年夏に訪れた東北の白神山地1箇所のみである。

北東北の世界遺産巡り | 河辺啓二 kawabekeiji.com

〈世界遺産のカウントについて〉

 世界遺産には、1資産だけで完結しているもの(例えば、姫路城)もあれば、複数の資産をまとめて1つの世界遺産としているものもある。後者の例としては、我が群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」がある。富岡製糸場だけ有名だが、あと3資産あり、複数の市町村に散在している。さすがに地元なので4資産ともしっかりと見学した。日曜等を利用して4日かけて完遂したものだ。

 群馬のほかで複数資産により構成される世界遺産を「完遂」できたなと思うのは、まず、沖縄の「琉球王国のグスク及び関連遺産群」で、2度の沖縄旅行により9資産全部観光した。「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺産群―」も、いちおう5構成資産を全部回った。ただ、多くは「完遂」できていない。「古都京都の文化財」は17資産中14件、「北海道・北東北の縄文遺跡群」は17資産中8件を見学した。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は全国8県(九州5県と山口県、岩手県、静岡県)11市に点在しており(シリアル・ノミネーションという)、計23件もあるが、さすがに見学したのは長崎県と山口県にある何件かとどまる。

〈日本の世界文化遺産で19箇所目の「白川郷・五箇山の合掌造り集落」〉

 以前から白川郷を訪れてみたいと思っていたが、とうとう19番目になってしまった。毎週日曜6時に録画しているTBS「世界遺産」のキャノンのCMでいつも白川郷が映し出されていて「早く行ってみたいなぁ」と。

 さて、今年の5月のゴールデンウイークにそれを実現した。三大名湯の一つ・下呂温泉に泊まって翌朝白川郷へ。覚悟はしていたが、交通渋滞がひどかった。クルマが殆ど動かない!私は、インバウンドのせいかなと思ったものの、外国人らしき人はあまり見かけなかった印象だった(渋滞で到着が遅かったためだろう)。しかし、後で聞いた話では「外国人ばかり」だったらしい。

 予定より2時間近く遅れて到着。予約していたガイドさんは事情を理解し、予定どおり案内してくれた。有名どころとして「神田家」、「明善寺」、「荻町城跡展望台」なども観光できた。このガイドさんから案内中、現地の人たちの生活をいろいろ話してもらった。

 このような観光シーズンは、日中は観光客が多すぎて外出できず、買い物等用があるときは夜出掛けるらしい。村の中は村人のクルマと救急車しかクルマは通ってはならないと。また、世界遺産の村にも、高齢化の波は押し寄せ、後継者難となっている。世界遺産とはいえ、若者は都会へ出て行くー日本中の田舎と同じ問題を抱えているのだ。

 翌日は、続きで富山県五箇山へ。まず「相倉(あいのくら)」で「勇助」展示館などを見学した。白川郷より戸数が少ないため、こじんまりとした印象であった。現地のレストラン「相倉屋」で昼食の蕎麦を食した後、「菅沼」も訪れて「白川郷・五箇山の合掌造り集落」を構成する3資産の見物終了。

〈日本の世界文化遺産で最後の20箇所目は〉

 とうとう最後の世界文化遺産。大阪の「百舌鳥・古市古墳群」である。やはり該当する資産はなんと49件もあり、当然全部見物できることは能わず、6月のある日曜日、要所のみ見学した。

 まず、堺市役所21階の展望ロビーへ。21階の高さでも「小さな森」くらいにしか見られず。あの写真で見る鍵穴のような形の「仁徳天皇陵」の姿は飛行機からでないと見られないのだ。ところでこの「仁徳天皇陵」の呼称だが、世界遺産検定の教科書によると、考古学者たちは本当に仁徳天皇が葬られているかどうかはわからないと主張し、宮内庁はそうだと譲らないらしい。発掘すれば真実がわかりそうだが、天皇様のお墓を掘り起こすなんて畏れ多くてできないのだ。だから、世界遺産検定本には地名を用いて「大仙(だいせん)古墳」と書かれている。だが、ここ堺市役所の展示は「仁徳天皇陵」のままであった。日曜日だったので、市役所全体は休みでひっそりとしていた。展望ロビー来客者も少なかった。

 その後、階下に降り同市役所の外に出て行き、「仁徳天皇陵」拝所で手を合わせる。やや遠くに鳥居が見えていた。また、すぐ右に宮内庁支所らしい小さな建物があった。そこでわかった、堺市にあるが「天皇陵」だから国家の所有で、国(宮内庁)が管理しているのだと。樹木やお堀の水の管理など、国家予算で行われているのだ。

 最後に、世界遺産ビジターセンターと堺市博物館を見学し、これで20個目の世界文化遺産訪問は、いちおうコンプリートとした。

 乗せてもらった観光タクシーの運転手さんに「これが最後の世界文化遺産訪問」と伝えたら感動してくれたなぁ。

〈日本の世界文化遺産のまとめしたいが〉

 20の世界文化遺産地を巡り、工芸品、マグネット等の土産品や撮った写真、押した記念スタンプ跡などが夥しく貯まってしまった。時間があればきちんと整理したいと思うが、膨大な時間がかかりそうで、いつになるやら・・・。