久しぶりに観たコーハク~憧れの加山雄三
・・・・・・・・・・・・・河辺啓二のテレビ論(9)
〈NHK紅白歌合戦の思い出〉
四国のド田舎に育った私にとって、子供時代、テレビを観ることは、ほぼ唯一、最大の娯楽であったと言っても過言ではない(当時、少しずつだが村にテレビが普及し、やがて白黒からカラーとなった)。中でも、年末にあるコーハクはワクワクして、炭火で暖めるコタツを囲んで、父母兄姉らと観たものだ。もちろん、最初から最後まで・・・。日が変わるまで起きていることなど、子供の私のみならず、親たちも年に1回のことだったように思う。
それからウン十年、思い返すにマトモにコーハクを観たことがない。うーん、いつから観なくなったかなぁ。興味がなくなって久しい。特に年取って新しい曲について行けなくなったことが主因だろう・・・。
〈今年は観ようと〉
NHKが視聴率アップを目指したのかどうか知らないが、今年のコーハクには、企画モノとして、私たち中高年者ウケを狙ったものが多かった。加山雄三コーナー、ユーミンコーナーに桑田佳祐・佐野元春・世良公則・Char・野口五郎コーナーと今まで紅白に無関心だった私でさえ「観ようかな」という気にさせてくれたのだ。中でも観たいのは加山雄三の最後の歌う姿。何せ85歳にしてあのカッコよさである。中高年おばさん軍団だけでなく、私ら中高年おじさん・ジジイ軍団にもファンは多い。ここで、私の加山雄三ファン経歴を書こうとしたら、13年前にも書いていたことを思い出した。2009年11月29日の旧ブログを参照してほしい。
加山雄三は70歳代の星 – – 昔かんりょう今いりょう – (kawabekeiji.com)
〈ステージからの引退を惜しむ〉
音楽活動から完全引退するのではなく、作曲等の音楽活動は継続し、ステージで人前で歌うことは引退とのことらしい。確かに85歳の御年で昔どおりの声・音域で歌うことは難しいことはよくわかる。
さて、ステージでは最後の歌声となるコーハク。かなり若いときに近い歌声を披露してくれたと思う。せっかくの「ラストコンサート」なのだから「海その愛」1曲だけでなく、(加山ファンとしては)代表曲「君といつまでも」「旅人よ」など3曲くらい歌ってほしかったなぁ。まぁ、時間制限があるのだろう。代わりに、後ほど、桑田佳祐らがrespectとして「夜空の星」を歌ってくれたが。
加山雄三のラストステージをコーハクでという粋な計らいしたNHKだが、その舞台装置は「?」と感じた。加山雄三が歌っているとき、いい雰囲気を醸し出すためにだろう、ドライアイスらしき煙(?)が足下でもうもうと漂っていて、足下が少しふらついた場面があった。彼は小脳出血や脳梗塞を患ったことがあり、足下が見えにくい状態は作るべきではなかったのではないか。このことだけはNHKの配慮不足だったと思う。
〈付け足し〉
「加山雄三」の「語源」=芸名由来は、「可山優三」というのをはるか昔聞いたことがある。大学の成績評価は、今はA・B・C・Dで行う(大学によってはAの上にSがあるようだ)。昔は、優(A)・良(B)・可(C、これまでが合格)・不可(D=不合格)で評価されていた。「優」がたったの3つで、何とか合格の「可」が山ほどあるという自虐の芸名だとか・・・。