さらば、「東大王」

・・・・・・・・・・・・・河辺啓二のテレビ論(11)

〈楽しみにしていたクイズ番組〉

 7年強も放映されていたTBS「東大王」が終わってしまった。週に0回~1回程度放映され、毎回録画して、週末等に観ていたクイズ番組である。「東大王」メンバーの博覧強記ぶり、頭の柔軟さ、回答の速さ、ひらめきの凄さには、毎回感心して見入っていたものだ。それでも、たまには彼らより早く答えられる問題もあり、そのときはたいそう嬉しかった。 

〈「東大王」出演かなわず〉

 ずいぶん昔のことだが、素人出演者募集の時期があった。たしか、何回か、クイズ好きな京大生とか医師とかが出演していたと思う。3人程度のグループでの出場募集があったので、かつて東大医学部時代、仲のよかった、数歳年上、数歳年下の同級生(私も含め3人とも、東大再入学者)とともに「元年寄り医学生トリオ」で応募するも、みごと落選だった。

 いわゆる素人が出演できる期間は短かった。東大王と対戦するのは、ほとんど芸能人ばかりの形式で番組継続となっていた。

〈「東大王」の功労者たち〉

 この番組をおもしろくしてくれていたのは、やまちゃん・ヒロミの軽妙な司会ぶりもあるが、「よくこんな問題を思いついたなぁ」と感じさせる、誠にバラエティーに富んだ、数々の「超難問」だ。これら問題を作成した番組スタッフの努力も労(ねぎら)いたいものだ。とはいえ、やはり、最大の功労者は、伊沢・水上・鶴崎三氏であろう。

〈「東大王」と私の関係少々〉

 伊沢君との接点は、全くない。

 水上君とは、5年前の東大医学部同窓会旅行(「鉄門旅行」)の宴会の際に、隣席でご一緒した。このことは、旧ブログー2019年11月13日付け「東大王」に謁見 – – 昔かんりょう今いりょう –で紹介した。このとき掲載した写真がネットの都合上だろうか、消されてしまったのでここで再掲する。

 鶴崎君については、2023年2月19日付け数学界以外で活躍する東大数学科卒 | 河辺啓二 kawabekeiji.comで登場してもらっている。彼とは、水上君のように会ったことはない。しかし、彼は私の高校時代の同級生の息子であるのだ。私は、そのことに気づくのが遅かった。言われてみれば、確かに「つるさき」という名字はありふれていないし、顔もお父さんの若いときに似ている。あぁ、なんと私は鈍いのだろう、と思ったことだ。

 そのお父さん(鳥取大学名誉教授、元日本蜘蛛学会会長)と、昨年、高校同窓会でウン十年ぶりに再会し、「つるちゃん」談義に花を咲かせた。何か天才エピソードないかなと尋ねると、なんと、幼稚園入園前の年齢で、二桁の掛け算を暗算で行っていたらしい。恐るべし。

 この天才者のお父さんだが、高校時代は、当時流行していたニューロックの「サンタナ」の熱烈なファンだった。その頃の私は、イマイチわからなかったが、いま、年取って聴くと「名曲だなぁ」と感じる。16、17歳にして彼の音楽嗜好は老成していたのだ。当時の学力は私が上だったが、彼には天才を生む片鱗があったのだと思わざるを得ない。事実、私はしがない一介の開業医だが、彼は国立大学教授を長年務めている。